2019年の総括&オススメ小説

2019年もいよいよ終わりですねえ。くっそ早え!
俺らは少し前に生まれてきて、まもなく死ぬ!(©中島義道
ということで(?)今年も1年の総括的なエントリをお届けさせてくださいませ。

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昨年末、2018年は僕にとって《再起》の年だったと書きましたが、今年のテーマ(ないし目標)は《持続》でした。それは半分成功し、半分失敗しました。というのも、活動的であれたのは前半のみで、後半はほぼ何もできなかったからです。

家族の事情(特に祖母の死)、僕自身の身体的不調(生活習慣によるもの、高校時代の古傷が原因のもの)、仕事の忙しさとストレス──まあ色々ありましたが、それはもう人生そういうものということで、来年も当然いろいろあるでしょう。コンスタントな活動が年々難しくなってゆく中、どういうやり方を見出してゆくのか! が今後の課題ですねー。

マイ・ファニー・バレンタイン

マイ・ファニー・バレンタイン

  • 作者:晋太郎
  • 出版社/メーカー: SLEEPING BAG
  • 発売日: 2019/02/08
  • メディア: Kindle
 

ともあれ、まあ、今年は3冊のリリースができたわけですよ!(半分の成功!)
その第1弾となった『マイ・ファニー・バレンタイン』は昨年に書いたものなので、もはや遠い記憶となっておりますが、実にサラッとやったよなーという印象。

次に出すのはまたこういう短編集がいいな、まとまった時間の確保が難しいときにはとにかく短編だな、持続という意味では短編を上手く活かしてやってゆくしかないな……みたいな感じで、今後の僕にとって「短編」はひとつの鍵となるような気がしております。こういう等身大の他愛もない作品がいっぱいあるのってけっこう大事でしょ、とも思いますし。

なお、今作でいちばんのお気に入りは『スメルズ・ライク』なのですが、一番人気は『クロス・ザ・ルビコン』でした。ああいうアホな会話劇は何も考えずにできるというか、おそらくはもともと得意な路線だと思うので、今後もちょろちょろやってゆこうかなと……。

例によってプレイリストも作りました。もしかしたら前にも書いたかもしれませんが、今作(&『晴れでも雨でも』)に登場するクラブはかつて渋谷にあったSimoonという中箱のイメージがもとになっています。

イン・ザ・ドッグハウス

イン・ザ・ドッグハウス

  • 作者:晋太郎
  • 出版社/メーカー: SLEEPING BAG
  • 発売日: 2019/08/03
  • メディア: Kindle
 

今年はこの作品をリリースできたことが何より大きかったです!『フィッシュ〜』で新たに開拓した路線をひとつの軸にできそうだな、と感じられたというか。

自分の「過去」を鮮やかに彩色するのが僕のメインの作風だったと思うのですが、「今」の自分の生活や感覚をベースに物語を作る、というやり方も今後は無理なくやってゆける気がしました。自分との距離が近いぶん容易に美化はできない、でもある種の小説的なフィルターを通して露悪的にならないよう成形することはできる、といった塩梅で。

なので、大人のための(あるいは大人になりきれない大人のための)「今」を描いたお話の割合が自然と増えてゆく……のかなあ。どうかなあ。わからんなあ。

何にせよ、"犬小屋" こと、この『イン・ザ・ドッグハウス』は僕にとって特別な一本となりました。出来・不出来はともかく、ある種の力がある作品だと自負しております。

ザ・ナショナルにガッツリやられたのは "Bloodbuzz Ohio" だったので、もうあれから10年が経っちゃうのかーと。フランク・オーシャンの『Channel Orange』も2012年ですし、俺らは少し前に生まれてきて、まもなく死ぬわけです。この「まもなく死ぬ」という感覚は若い頃からありまして、犬小屋ではそれを前面に出しましたけども、過去の作品たちにも割と滲んでいることかと思います。

Copy, Right?

Copy, Right?

  • 作者:晋太郎
  • 出版社/メーカー: SLEEPING BAG
  • 発売日: 2019/11/29
  • メディア: Kindle
 

こちらは "犬小屋" にのめり込んでバランスを崩さないように書いていた、いわゆる【青春のきらめき】系の一本。「何てことのない話」というのが僕自身の評価ですが、僕のメインの路線として、書ける限りは、そして書きたいことが浮かぶ限りは続けたいと思っています。何というか、若い読者さんたちのためにも。

ただ、同じことを同じように繰り返し書いても意味がない、というか僕が飽きてしまうので、ちょっとずつ「新しい領域」に踏み込んでゆきたいなーと。【同じことを繰り返し書くこと】自体はまったく問題ないというか、それでいいとすら今は思ってるんですけどね!

そういえば、この本をリリースする直前に元彼から唐突に電話がかかってきて、うーんシンクロニシティ……となりました。色んな話をして、知らないままでいたいくつかのことを知って、現実の方がよっぽど作り話っぽいよなとしみじみ感じたり。

天冥の標Ⅰ メニー・メニー・シープ(上)

天冥の標Ⅰ メニー・メニー・シープ(上)

 

ところで、作中で基くんが読んでいるSF小説はコレです。ちょうど1年前、年末年始の休みにブワーッとまとめて読んだんですけど、長大なシリーズを一気に読めるのはこういう休みぐらいだと思うので皆さんもいかがでしょう。いや、僕の小説を全部読むというテもあると思うんですけどね!(姑息)

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そんなわけで、今年の僕の活動はおおむねこんなもんでした。まったく満足できるものではありませんが、無駄に自分を責めるのもやめような!とも思っています。
なお、昨年同様、小説ではない書き仕事もやらせていただいたので、お知らせできるタイミングが訪れた際にはまた告知をさせてくださいませー!

僕の作品を読んでくださった皆さん、応援してくださった皆さん、今年も本当にありがとうございました!今以上のペースでの活動はなかなか難しいかもしれませんし、動けないときはとにかく動けねえ!という事実を受け入れてやってこうと思っておりますが、できる限り、体を壊さない程度に楽しく頑張ってゆきますので、来年もどうか応援していただけましたらめちゃめちゃ嬉しいです。

 

……と、このまま終わるのも面白くないので、以下、今年のオススメ小説などをちょろちょろと簡単に紹介して終わりますね!

掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集

掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集

 

やー、これはもう珠玉の短編集と呼ぶほかない一冊でした。ひとりの女性の人生が詰まっているし、それらの断片がひとつひとつ物語として昇華されているさまがもう……。あー、人生ってマジでやべえよなあ、とアホみたいなことを思いましたし、自分の人生の全部を、悲惨な出来事もひっくるめて愛おしいと感じてしまいました。

これが白眉なんすよ!と特定の短編を挙げるのは難しいんですが(どれも素晴らしいし、とにかく総体に圧倒されるので)、最後の三本「さあ土曜日だ」「あとちょっとだけ」「巣に帰る」を立て続けに読んだときの感覚といったら。

僕も実体験をベースに書くことが多いですけど、彼女みたいなやり方はとてもできないですねー。でも、このまま今のスタイルを守ろうと思いました。そして、どれだけ小規模で、どれだけ個人的なものであろうと、とにかく書き続けたいなとも。書くことの凄味、書き続けることの凄味を突きつけられたような気がします。

息吹

息吹

 

ああ、『あなたの人生の物語の作者だな、俺はこの作者の抱えるテーマに共感を覚えていて、この作者のメッセージを好ましく思っているのだな、みたいなことを感じながら読みました。彼はニヒリズムに抗う姿勢を知性的に示し続けていると思います。

俺らは少し前に生まれてきて、まもなく死ぬ!としつこく書きますが、俺らの人生において唯一確実なのはそれだけで、そのことを意識から追い出すにせよ直視するにせよ、どうであれ俺らはいずれ去るわけです。そういったフレームの中で、どういう希望を見出すのか、人生というものをどう捉えるのか……というのが僕のもっぱらの関心事なのですが、テッド・チャンのスタンスは端的にめちゃめちゃ好みです。彼はもう50代ですけど、ずっと肯定的なメッセージを書き続けているのが、その生き方がすごい。

ものを書く立場から見ると、必ずしもプロット先行の書き方が悪いわけではない、ということがよーくわかるのもけっこう励まされますね。まあこんな緻密な表現はまず真似できないし、美しい奇想も俺からはめっちゃ遠いものなんですけど。でも、書き方に正解はないよなーと。

レス

レス

 

俺らにはファンタジーが、甘い話が必要なのよ!とつねづね俺は思ってまして、というか単に俺個人が強く求めてただけなんですけども、これはズバリそういう作品でした。仮に俺がこのプロットでこの長さの小説を書いたら、最後は別の場所に着地させると思います。同じ結末にするにしても、不穏な要素を取り入れるとか何かしらやっちゃうはずです、何故なら人生はそういうものだから。でも、本当はこんぐらいの書き方をしてしまいたい。何故ならフィクションにはそれが可能で、俺らにはそういったものも必要だから。でも、でも…………みたいな葛藤が俺には常にあります。なので、こういう思い切った作品を他者から差し出されると「ありがとう!」という気持ちになっちゃうんですよねえ。やー、もうシンプルに最高でした。

とはいえ、ただただそういう結末を提示されてもノれないのも事実で、この作品の場合、ペーソスとユーモアのバランスが絶妙だというのも大きいですよね。語り口が面白くて、何よりレスがチャーミングだから肩入れしたくなる、というのもある。けっこうどうしようもねえな、と思う瞬間もいっぱいあるんですけど、だからこそレスはチャーミングなのです。

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以上、オススメ小説でした!(読書家でもないくせに!)

ということで、今年も「こいつらはよく聴いたなー」という曲を適当に(適当にというのが重要です)まとめたプレイリストと、そこには加えなかった、しかしながら今年のマイ・ベストである思い出野郎Aチームの最高に最高に最高なアルバム『Share the Light』を紹介してシメたいと思います。

2019年は彼らのライブに何度も足を運んでエネルギーを貰いました。めっちゃ踊ってめっちゃ歌いました。俺の中の猿川建くんが大騒ぎしているので、モンちゃんファンの方はぜひ頭から通して聴いてみてほしいです。ほんとに!


ちくしょう、かっけえ!
最高の最高だ!俺も頑張ろう!!
どうか良いお年を!

新刊『Copy, Right?』リリースのお知らせ

お久しぶりです、晋太郎です!
新刊リリースのお知らせです!

Copy, Right?

Copy, Right?

 

「あのさ。太田に弟子入りってできる? ────俺、オタクになりたいと思ってて」

絵や小説などの創作を趣味とする、内向的な太田。
サッカー部のエースストライカーとして有名な人気者、殿馬
大学の同期でこそあれ、接点のなかった二人は
"ヌードデッサン会のモデルと描き手" として思わぬ邂逅を果たす。
《体育会系》への苦手意識が強い太田に対し、
《文化系》への妙な憧れをもって強引に近づいてくる殿馬
まるで異なる二人は互いへの理解を徐々に深めてゆくのだが、
それぞれに「今の自分」に至った大きなバックグラウンドがあって……?

"僕らは何かを模倣して、演じる以外のすべを持っていない。
生まれたその瞬間から模倣はスタートする。
それを繰り返す中で、僕らは自分というものを形作ってゆくのだ────"
影響を及ぼし合う二人──そのちょっぴり特殊な友情を描いた、ひと夏の物語。
およそ50000字の書き下ろし青春中編。

(約6000字のBL短編『Spil Milk』を併録) 

今作は、8月にリリースした『イン・ザ・ドッグハウス』と同時期に書いていた一本です。既にその当時99%書き上がっていたのですが、入院したり手術したり通院したり通院したり通院したりで、まーあ永らく放置することとなってしまいました……。

通院と本業の隙間には、ご依頼いただいていた原稿の方を進めてまして、どうにもまとまった時間が捻出できなかったわけなんですけども、先日そちらの納品が終わったため「おーし、ボチボチ自分の作品に戻ろう!」ということで、手始めにストックの中から本作を(ササッと推敲したうえで)リリースすることにした次第です。

さて、今作は "やさぐれおっさんモノ" である『ドッグハウス』を執筆する上で、自分の中でバランスを取るために書いていた、いわゆる "青春モノ" となります。こちらもプロットレスだったので、どういう話になるのか自分でもわかってなかったのですが、いつも通りのノリで書きつつも、今までとは違う何かをちょびっと入れ込みたいよなーという感覚があったことは覚えてます。主人公がナードな文化系というのも僕の作品的には割と珍しいので、ちょびっとオタク臭い言い回し(ナインの宮内くんほどではないですが)を意識して楽しく書いてました。

恋愛の要素が強い作品を立て続けに繰り出していたこともあって、単なる恋愛モノではない一本にしたい!という気持ちもあったかもしれません。結果、ちょっぴりヘンな話となりましたし、実に何てことのないお話でもあるのですが、個人的には彼らを愛おしく感じております。恋心と友情を同時に描いてるヤーツ、と考えるとまーあ全然いつも通りかもしれませんけども。

(なお、『ドッグハウス』との対比は特にない……つもりではあったものの、あちらを「性依存」の話と捉えると、ある意味では対照的な部分もあるんですかね?うーん、わからない!)

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ということで、例によってリリース直後がいちばん安く、後から価格を上げてゆくかたちを今回もとりますので、少しでも気になるという方はぜひぜひお早めにどうぞー!

ツイート、レビュー、マシマロ、イラストなどなどのリアクションもお待ちしております!といっても今回、外見描写はかなり控えめにしましたので、いつも以上にイラストは描きにくそうなんですけども、お好きに想像していただけたら嬉しいなーと……!

どうかどうか、よろしくお願いいたします!


Snail Mail - Pristine


Billy Joel- Don't Ask Me Why

最後に、今回は音楽をほぼ使わなかったので、このエントリで作中に登場する音楽もササッとご紹介しちゃいます。基くんがかける曲がスネイル・メールのコレで、辰仁くんが歌う曲の一例として挙げられているのがビリー・ジョエルのコレです。どちらも特に意味はありませんが、"Don't Ask Me Why" は俺も車の中でよく歌ってます。歌ってて楽しいんですよねー、コレ。

晋太郎作品に寄せられたイラストたち その34

こんばんは!夏休み明け早々、忙殺されたかと思いきや救急車で運ばれて入院し、点滴絶食ダイエットに成功したため今後はちょっと食事に気をつけてさらに痩せんべ!と誓いを立てたばかりの晋太郎です。仕事が忙しいです。寝冷えで風邪をひきました。あい変わらず季節に敏感でやばい。
しばし、しばしば(芝犬を想起させる表現)通院したり入院したりせねばならないのですが、まーあとりあえず生きてとりあえずがんばります!追われている!

ということで、拙作に寄せていただいたイラストのご紹介エントリです!

犬小屋は(いろんな意味で)イラストにするのが難しいかもなあ、とおぼろに思っていたのですが、まさかの犬シフターで頂戴しました!しかもたかさきさん(たかさきけいいちさん)が描いてくださるなんて!と軽くパニックに陥った1枚です。
というのも、僕はかねてより純粋にたかさきさんのファンで、その唯一無二とも言える空気感や語り口にやられまくってきたのです。これはtwitterでも繰り返し書いていることではありますが、特に作品の入り方と終わり方(に用いられるモノローグ)が本当にやばいんですよね。うわあ、と声が出てしまったことも何度かあって、そのたびにジタバタしてきました。「魔法的な飛躍」と秀杜くん(俺のキャラです)なら言うかもしれませんが、そういうものが優れた作品にはジャンルを問わずあると思うんですけど、たかさきさんの作品にはそれがあって、しかも「ここにあるのは計算ではなく、ただただ感性なのでは?この感性こそがたかさきさんの作品を唯一無二のものに仕立て上げているのでは……?」と憧れを抱いていたので、そして僕の作品(語り過ぎ・大仰・ナルシシスティック)とたかさきさんの世界が交わることはまずなさそうだなと思っていたので、もう本当にびっくりしたわけです。嬉しかった……。

と、ラブレターめいた文章を書き連ねてもアレなのでほどほどにしておきますが、たかさきさんの絵柄で自分のキャラが見られたのはやはりどうしようもなく嬉しかったです。長嶺はいけ好かない奴だなーと思ってたんですが、このイラストを見て「あー、でもこれはかっこいいよズルいよ」となりました。武蔵くんも武蔵くんらしくてときめきました……。

入院しているときにいただいたもので、これはちょっと泣きそうになりました。(入院初日のことは朦朧としていてよく覚えてないんですが)決して大ごとではなかったですし、「へっちゃらですよ!」という顔をしてはいたものの、飯は食えないわ、プライベートがないわ、人として見做されていないような、社会から隔絶されたような、人権を剥奪されたような……大袈裟ですが少々そんな気分にもなっていたので、「うわあーありがとうございます!」と救われたというか。手ぶらでやってきた様子の和毅が愛しくて、性的なものを一切抜きにして5分間ぐらいハグさせてくんねえかな、とマジで思いました。これはより「たかさきさんの絵だ!」という感じが強くて猛烈にしあわせ感じましたねえ……。

やー、しかし入院ってやばいですね。健康に生きて健康にくたばりてえなとしみじみ感じましたよ。そんな状態でアンドリュー・ショーン・グリアの『レス』の続きを読んだんですけど、俺は絶対にこういう結末にはできない!この筋でこの尺を使ってこの結末!すごい!ファンタジー!俺にはできないけどこういうの読みたかった!みたいに悶えました。人生には色々あります。

今回、いちばん絵にしにくいのは武蔵くんだろうなあ、と思っていたのに、その武蔵くんのイラストをいただける不思議……!でも、武蔵くんを描いてみたいという声も多かったので、「描けるなら描いてみたい」みたいなポジションのキャラクターになれたのかもしれません。俺の推しです。折りますけどね。

イン・ザ・ドッグハウス

イン・ザ・ドッグハウス

 
双星と遊星のダンス (星雲と半風子)

双星と遊星のダンス (星雲と半風子)

 
レス

レス

 

たかさきさんは藤丸心太くんの小説(心太くんの小説もほかにない個性をもった作品が多い!)のイラストを複数描かれてますが、個人的に特に好きなコレのリンクを貼っておきます!

こちらは黒森さんの誕生日シリーズ(と呼ばせていただきます)!裕也と保は綺麗な感じでいいですね。特に保のイラストの透明感には「うわー、爽やか!」となりましたし、BL作品だったら裕也とか保とかがメインキャラクターになるのかもなーと。まあ、琢磨や宗匡もBL向きだと個人的には思うのですが。
ナインはストーリーの都合上、作中で誕生日を迎えるキャラがいてはいけない感じで、結果、夏生まれがほとんどいないという設定になってしまったのですが、孝介は夏生まれにしたかったんですよね。エピローグの前にきっと盛大かつアホなパーティーがあったんだろうなと想像してます。
しかし振り返ってみると、メインの主人公だと思われるであろうキャラクターをああいう性格にしたのって結構冒険だったんじゃ、という気もしますね。語り手にはまずなれないキャラですし。でも、そんな孝介というキャラクターをあのポジションに置いたことで、ナインは上手いこと纏まったのかな、とも感じます。
……ということを改めて考えるような、そういう孝介の、眩しいイラストでした。
いつも本当にありがとうございます!

ナイン・ストーリース? -球児九人夏物語- side A ナイン・ストーリーズ

ナイン・ストーリース? -球児九人夏物語- side A ナイン・ストーリーズ

 
ナイン・ストーリース? -球児九人夏物語- side B ナイン・ストーリーズ

ナイン・ストーリース? -球児九人夏物語- side B ナイン・ストーリーズ

 

こちらはポロさんによる『マイ・ファニー・バレンタイン』のユウ&ダグさん&ダグさん!ポロさんが描くユウは「颯爽として魅力的」ですねえー。そして犬のダグさんの顔がクソかわいい。なんでそんな表情してるんや……。

事後に宣伝を掲載しても、という感じではあるんですが、近頃ではご自身の作品を旺盛に作られているポロさんです。やっぱりポロさんのかわいいニーチャンはどうしてもかわいいなー、と改めて。気になる方はぜひtwitterでフォローをしてみてください。そういう方は既にフォロー済みだろうとも思いつつ!

マイ・ファニー・バレンタイン

マイ・ファニー・バレンタイン

 

イラストを描いてくださったみなさま、本当にありがとうございました!
しばしバタつきそうな、てんやわんやな日々が続きそうではありますが、健康に気を配りつつ、今後も活動を継続したいなーと思っております。それでは!

『イン・ザ・ドッグハウス』に登場する楽曲たち

こんばんは!新刊『イン・ザ・ドッグハウス』をご購入くださったみなさん、本当に本当にありがとうございました!
やー、疲労困憊な状態で夏休みに突入して完全に惚けておりましたが、今夜は作中に登場する楽曲紹介のエントリ(*ネタバレを含む)を立てることにしました。ということで以下、簡単にですが、コメントを添えた動画を載っけてみます。Spotifyのプレイリストも併せてどうぞー!

イン・ザ・ドッグハウス

イン・ザ・ドッグハウス

 


『イン・ザ・ドッグハウス』は『フィッシュ・イン・ザ・シー』に登場したゲイバー《ビッグ・フィッシュ》のシーンから始まりますが、鯨井さんがいるときにもジョン・グラントが流れていたので、たぶんタイちゃんか誰かが好きなんでしょうねー。ゲイであること、HIVポジティブであることなどをオープンにしたアーティストです。彼の「内面を曝け出してく」感じ、個人的にめっちゃ惹かれます。

今作は完全にプロットレスで書き始めたものの、『Gray Tickles, Black Pressure』(中年の危機と悪夢)な話だろうという感覚は最初からあったのでしょう、初稿の時点でこのMVが流れている描写がありました。(なお、舟場は中年とするにはまだちょっと若いかもしれませんが、 "中年の危機" そのものというよりも、それへの予感と不安を描いた作品ということでご容赦ください……!)

しっかし "All these things they're just disappointing compared to you" のエモさたるや……。この曲はエブリシング・バット・ザ・ガールのトレイシー・ソーンと一緒にやっております。


 


空港へ向かう舟場さんが車中で再生するザ・ナショナルの『Sleep Well Beast』。その冒頭の2曲となるのがこちらです。そらーああいう気分にもなるわ、という感じですよね。"The day I die, the day I die / Where will we be...?" クッソ名盤です。

僕は "Bloodbuzz Ohio" あたりでガツンとやられたクチなので割と近年のファンだと思ってたんですけど、調べてみたらあれは2010年でした。はー、時の流れが早すぎる。


未発表作『Run,Jump and Throw.』のキャラクター(ゲイライター)がその作中でこのアルバムのレビューを書いてたんですが、それを引っ張ってしまった感じがあります。『フィッシュ〜』のときもそれでモンクの曲を使ったので、「未発表作のくせに生意気だ!」状態になってますね。やべえ。

この曲は個人的に思い入れが強すぎるというか、「夏の終わりに絶対に聴く1曲」となってしまいました。できれば10代後半〜20代前半ぐらいでそれをやりたかったなーと思いつつ、彼のようなアーティストがいてくれる今に感謝したい気持ちが強いですね。やー、歌詞も最高じゃないすか。マッチョさが全然ないし。どうであれ死ぬほどキュンとくる……。


プロットレスで書いていたため、最後の章に入った時点でもまだどういう展開になるのかよくわかってなかったんですが、「まさかこの曲を使うなんて!」と自分でビックリしました。「いやーこれはやりすぎでしょ」と軽く引きながらも「でも他になくね?」と勝手に納得してしまったような感じです。タイトル部分はもちろん、歌い出しの "So messed up I want you here / And in my room I want you here" もしっくりくるというか、「そりゃーめちゃくちゃだよね!」みたいな気分で。

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ということで、以上、『イン・ザ・ドッグハウス』に登場する楽曲たちでした!

敢えて既存の曲を使おうという意識はまーーーったくないんですけど、書いていると自然とそういうことになってしまうので、これは俺という人間がものを書く以上はやむを得ないことなんじゃないかなーとも最近は思います。何せ生活の一部ですし。

それではまた!!

新刊『イン・ザ・ドッグハウス』リリースのお知らせ

微妙にお久しぶりです、晋太郎です!
これまた微妙に久々な、新作中編リリースのお知らせです!

イン・ザ・ドッグハウス

イン・ザ・ドッグハウス

 

「で。犬の飼育をやめた代わりに、犬っぽい男と遊んでんだ?」
「なるほど。犬は生涯に一匹でいいというわけか」
「行辰さん、犬の話をたまーにしてくれますけど、絶対に名前で呼ばないすよね」

社会の洗礼を受けてくたびれ始めた、育ちの良い【レトリバー】。
オープンリレーションシップの恋人をフランスに持つ、辣腕SEの【シェパード】。
異性愛者の師に想いを寄せ続ける素朴な刺青職人、【四国犬】。
そして、長年のパートナーと別れてからというもの、放埓な生活を送ってきた三十男・舟場行辰。
どこか犬に似た三人の男たちとの怠惰な日々の果て、それぞれとの関係に変化が兆す。

“分散しろ。一極集中では重すぎる。分散しろ──。”

種々の別離に触れ、臆病風に吹かれたひとりの男が辿り着く場所とは────?
暑過ぎる夏、熱波に焦がされる犬たちの《変化と選択》の物語。
約51000字の書き下ろし中編。

 ……という感じの一本で、つまりは犬ども(比喩です)のお話です。

今や僕の作品は完全に《キラキラティーンorやさぐれおっさん》となっている節がありますが、今作は後者ですねー。本当は(バランスを取るためにも)前者に該当する中編『Copy, Right?』と同発にする予定だったのですが、「私生活の諸々によって近々身動きが取れなくなるのでは……!?」的なやべえ予感が現在ありまして、「うおー、急遽こっちだけでも出しちゃおう!今のうちにさっさと出しちゃおう!」と判断をくだした次第です。

両輪の片方だけだとバランスを欠くなー、という思いも実のところあるんですが、「リリースの感覚が空きすぎてしまうと臆病になる」「手放すタイミングを見失う」というのは経験的によーくわかりましたし、「ここはまた読者さんの反応をエネルギーに変えて、どうにかしばらくやってきたい!」みたいなアレもあります。初稿からほとんど変わってないやん!そんなら4月ぐらいにリリースできたやん!と己にツッコミを入れつつ、どうかどうか、みなさまよろしくお願いいたします!

さて、今作の内容にざっと触れますと、《セックス、延いては他者との関係の在り方》について書いた一本になるのかなーと思います。「俺が歌を作るときのテーマはセックスと死だけなんです」と若かりし日の草野マサムネ氏は言ってしまった(ウヒャー)そうですが、実は僕の今作にも《死》の影がちょろちょろと顔を覗かせております。ということで、ほの暗い要素もあるのですが、言っても「あー、いつもの感じやん?」で済んじゃうぐらいのもんですし、おそらく犬どもは魅力的なキャラクターになっていると思いますし、身構えず、軽い気持ちでお読みいただけますと嬉しいです。何より「犬が好きだ!俺は犬が好きなんだ!」という偏向を押し出せて僕としてはたいへん楽しかったので。《犬の比喩》《犬のような男》を僕は繰り返し書いてきましたが、全編その調子というのはさすがに初めてでしたし、うーん、楽しかったなあ……。

やー、みなさんにも楽しんでいただけたら本当にしゃーわせなのですが、いつもながらリリースしてみないとその辺はわかんないですね。クソこわ!
なかなか癖の強い作品ですが、どうか楽しんでいただけますように!

毎度のことですが、ご感想、激励、イラストなどなどのリアクションもお待ちしております!どうかよろしくお願いいたします!まだまだガンバルトーーー!