『ティーンエイジ・キックス』に登場する楽曲たち

こんにちは。新刊をご購入くださったみなさん、早くもご感想を寄せてくださったみなさん、本当の本当にありがとうございます!引き続きリアクションをお待ちしております!

ティーンエイジ・キックス

ティーンエイジ・キックス

 

さて、例によって作中に登場する楽曲+αのエントリです。いつもはリリースからもう少し時間を置いている気がするんですが、今回は音楽とともに楽しんでほしい思いが強いのもあって、早くもやっちゃいます。
ただ、全曲紹介するとさすがに多いやろ!って感じなので、ここでは一部抜粋しつつのご紹介にしようかなと。(*Spotifyの方はおおむね全曲になってます)


「昼休みは放送委員が好き勝手に曲を流している」ってことにすればやりたい放題やん!という実に安易な考えで設定を作りました。どんな高校だよ……。ちなみに小学生の頃ではありますが、俺はそれをやってた覚えがあります。放送室でメシが食える特権つきで楽しかったです。


 『コーヒー&シガレッツ』経由で仁平が好きになるトム・ウェイツ。本当は "Downtown Train" にしたかったんですけど、歌詞的にコレだと面白いかなーと。
ただ、実際にカラオケに入ってたらなかなかヤベエですよね。これを半裸で歌ってる太めの高校生はもっとヤベエですけど。どんな気持ちで聴いていたらいいのか。


何の意図もなくリル・キューが "ラクガキ" に使ってしまった曲はコレ。最後の方で一球くんが着るティーシャツもN.W.Aです。
しかし仁平は一球のために古着を買い置くとか、割と度を越してますよね……相思相愛で末長くハッピネスしてほしい。今作のいちばん強いカップルはペイ&Qでした。


一球が特に好きなのは「チャンスくん」でしょ!というのは最初からなんとなく決まってました。そしてこの曲のかわいい感じ、"I've got plans to hug and kiss ya♡" とかめちゃめちゃ一球だなーと。
しかし彼はLPを買うだけでなくiPodにまで曲を入れてるので、今時の高校生としては相当に変わってますよね。お金に困ってないからという前提はありそうですが、リスペクト!の対象にはお金を払いたい子なんやと思います。


ラッセルを持ち出すためだけに使ったゴリラズです。これは『Demon Days』の収録曲じゃないんですけど場面の雰囲気的にはこんな感じかなーと。
ここでも "今" っぽくするならスロータイくんとの新曲か?ともチラッと思ったんですけど、それだとその時点で早くも仁平が踊ってしまいそうな気配もあって。

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金田からラッセル(右下)に変わるって結構だよな、仁平……。
たぶん輪郭とか眉毛の感じが似てるんだと思います。


音楽は好きだけど特別にのめり込んだりはしないぜ、みたいな壮亮くんがググッと惹きつけられるムラ・マサ。この曲を作中で使った後に『R.Y.C』がリリースされ、「うわー、アルバム全体もシンクロするじゃんか!ビデオはダサいけど!」と盛り上がりました。
2020年リリースのこの作品を用いたが故に「コロナのない世界」であることの不自然さが際立ってしまったんわけなんですが、作品のトーンに影響を与えたアルバムなので取り下げることもしたくなくて……。ともあれ、このBPMで踊る仁平は相当キレキレなんだろうなーと思います。


ドゥ・ザ・ライト・シング』のティーシャツを着る一球。"Fuck Tha Police" の件も含め全体的にですが、ジョージ・フロイド氏の事件〜BLMの巨大なうねりが起きる前に書いた作品だったこともあって、これを今出していいんかな……とかなり悩みました。もちろん一球にも彼なりのバックグラウンドがあるわけなんですが、表向きはただただ無邪気だしなあと。当初は「ムーキーからラヒームに、ってぐらい背が伸びた」みたいな描写もあったんですが、そういうのは削除しました。


昨年の暮れに出た『No Holiday』がキムの遺作となってしまい(ALS、筋萎縮性側索硬化症との闘病を続けていたそうです……)執筆当時によく聴いてたんです。I don't know why you're so glad / when my head's filled with sorrow / So maybe if I fade away / there'll be no sad tomorrow とサビで歌われていて、以前から「切ねえけど大好き!」と思ってましたが、執筆中はこう余計に色々感じるものがあって。名曲。


作人が聴いていたフランク・オーシャン。他にもこんなアーティストが好きなんだろうなあ、そして一球(たち)に色々教えたんだろうなあ、などと妄想してたんですが、作中では使いませんでした。
なお、件のティーシャツは90'sのヴィンテージ古着っぽいので、一球のはフェイクなのか、あるいは仁平パワーで手に入れたものなのか……。

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この「INSTANT KARMA」はおそらくジョン・レノンの曲からきてると思います。俺もコレほしいんです!


トム・ウェイツ以外にも仁平の好きなアーティストを出したいな、ということで本棚にチラッとその筋の本を紛れ込ませました。俺の青春のバンドのひとつなんですが、今聴いてもやっぱり猛烈にかっこいい……。
DブーンはいわゆるThe 27 Clubのひとりで、拙作『タイトロープ・ダンシング』でその話題が出たとき、主人公の寛次くんが絶対に思い浮かべたであろう男ですね。あと『サンキュー・マイフレンド』のふたりもこのバンドが好きです。


屋上で一球がひとりでユラユラ踊る……という場面を書くことになったとき、この曲しか浮かばなかったんですよ。歌詞(和訳はこちら)もかなり場面に合っていて「うわあ……!」とひとり盛り上がロールでした。一球は「カリードくん」と呼んでると思いますし、ファッション的なお手本にもしていそう。作者のアイドルです。


ムラ・マサは壮亮のイメージで持ち出したんですが、この曲だけは一球チョイスで、やっぱり(?)こいつはこういうのが好きなんだなあと。で、奴にとってこの曲の "you" はひとりじゃないし、"we" はふたりじゃないよな……みたいなことを思いつつ、ステップを踏んでる一球の絵面を想像してやばくなっていました。奴は英語わかりませんが。やー、こういう胸キュンソングめちゃ好きなんですよね……。


壮亮がいちばん好きなのはコレ、ということで。歌詞の引用はしないという方針で書き始めたんですけど、最後の最後にどうしてもやりたくなっちゃいましたね……あの場面で流れてたら絶対にいいなと思ってしまって。ただあれはめっちゃ壮亮くんの意訳なので、すみません。しかもルビなので文字数も抑えなきゃいけなくて!


一球がATCQティーシャツを着る場面は序盤ですが、Can I Kick It? は最後の方にあった方がいいよね、みたいな感じで。Can I Kick It? (Yes, you can!!!) という気持ちで。
なお、ヒップホップの世界で「Q」といったら誰もが思い浮かべるのはまずATCQのメンバー、Qティップではないかと思います。


これは作中には出てこないんですが、最後のシークエンスで流れてるのが壮亮の "Teenage Headache Dreams" だとしたら、エンドロールの黒い画面では一球好みなコレとが流れててほしいなあ、みたいな、そういうことを考えながら執筆してるんです。いつもってわけじゃないですよ!だいたい!

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ということで、楽曲紹介でした。
なんだかんだほとんど載せてしまったような……まあいいか!

ちょっと放心してますがまたがんばります!それではっ!!

新刊『ティーンエイジ・キックス』リリースのお知らせ

お久しぶりです、晋太郎です。
新作中編──といっても少し長めですが、そのリリースのお知らせです!

ティーンエイジ・キックス

ティーンエイジ・キックス

 

「死ぬほど運がいいんだ、おれって」
中三の夏、陸上部の部室でそう言った作人は一週間後に飛行機の墜落事故で死んだ。

4-1=3。重要なピースを欠いたリレーメンバーの三人はそのまま陸上競技から離れるが、
高校二年生となった今でも、それぞれが作人の不在を強く意識したままでいて……。

早熟で先進的だったリーダー、去ってしまった一走の作人。
ブラックカルチャーへの憧れでいっぱいな"真性のアホ"、陽気で派手好きな二走の一球。
ただただ今をやり過ごそうとする、屈託にまみれた三走の《俺》。
そして、スニーカーばかりに情熱を注ぐ問題児、"動けるデブ"と化したアンカーの仁平。

ずきずきと疼く"あの頃"の眩しい記憶、目を逸らせない現実と迫り来る将来、三者三様の悩みと秘密──。
"今"を全力でキックするティーン、その傷だらけの青春と友情を描いた約75000字の書き下ろし中編!

タイトルの通り、今作は十代の青春モノとなります。というと、「おっ、お得意のキラキラか?」と思われそうですが、今作の主人公は17歳にして過去を眩しく捉えていて、いつまでもキラキラしてらんねえんだよ!的な態度を見せつけてきます。
結構な試練を与えられたキャラクターたちが、しかしそれぞれ懸命にあがくさまを描きました。ビターな要素もありますが、そこはきちんと晋太郎節(?)を効かせながら《ノンケ男子どもの熱くホモ臭い友情》をちょいちょいコミカルに、そしてエモーショナルに展開させております。中盤まではちょーっとウジウジしてますが、後半は勢いづきますのでぜひぜひ読み進めてくださいませ。

今回のキーワードないしキーアイテムは《Kicks=スニーカーです。アディダス派の主人公、内城壮亮(ナイキ・ソウスケ)くんは割と普通のニーチャンですが、スニーカーマニアの仁平くん、ヒップホップやそっち系のアートワークなどを愛する一球くんのおかげで、今までになかったなあ、というぐらいブラックミュージックやストリートカルチャーの色も入り込みました。元陸上部員のくせに(?)割とヤンチャな連中になってます。そういうところもお楽しみいただけたら嬉しいです!

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作中に登場するスニーカーの一部です。こんな感じ。

やー、今作は今年の1月アタマに書き始めてすぐに初稿があがったので、これは春先にはリリースできちゃうなあ……なんて思ってたんですけど、コロナ禍(と、それに重なるようにして起きたヤベエ諸々)のために身動きのできない日々が続き、寝かせたくないのに寝かせるような感じになっちゃったんですよね。でもまあ、夏のお話なのでこの時期にズレ込んだのも結果オーライということにしたいです。しないとやってらんねえ!


例によって作中に出てくる音楽のエントリもまた立てたいなーと思ってますが、1曲だけ貼っておきます。執筆中、Mura Masaくんの新譜と作品がリンクして盛り上がったので、今回はアルバム通して色々と使いました!ブラックミュージックじゃないやん。

ということで、どうかどうかよろしくお願いします!
そして毎度のことですが、ご感想、激励、イラストなどなどのリアクションも切実にお待ちしております!!それを糧にこのまま次回作(たぶんどうでもいい感じの、露骨な性の話が多めな、おっさんやニーチャンどもの短編集)に移りたいなあと!
絶対に絶対にがんばりますので、何卒、よろしくお願いいたしますーーー!!!

2019年の総括&オススメ小説

2019年もいよいよ終わりですねえ。くっそ早え!
俺らは少し前に生まれてきて、まもなく死ぬ!(©中島義道
ということで(?)今年も1年の総括的なエントリをお届けさせてくださいませ。

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昨年末、2018年は僕にとって《再起》の年だったと書きましたが、今年のテーマ(ないし目標)は《持続》でした。それは半分成功し、半分失敗しました。というのも、活動的であれたのは前半のみで、後半はほぼ何もできなかったからです。

家族の事情(特に祖母の死)、僕自身の身体的不調(生活習慣によるもの、高校時代の古傷が原因のもの)、仕事の忙しさとストレス──まあ色々ありましたが、それはもう人生そういうものということで、来年も当然いろいろあるでしょう。コンスタントな活動が年々難しくなってゆく中、どういうやり方を見出してゆくのか! が今後の課題ですねー。

マイ・ファニー・バレンタイン

マイ・ファニー・バレンタイン

  • 作者:晋太郎
  • 出版社/メーカー: SLEEPING BAG
  • 発売日: 2019/02/08
  • メディア: Kindle
 

ともあれ、まあ、今年は3冊のリリースができたわけですよ!(半分の成功!)
その第1弾となった『マイ・ファニー・バレンタイン』は昨年に書いたものなので、もはや遠い記憶となっておりますが、実にサラッとやったよなーという印象。

次に出すのはまたこういう短編集がいいな、まとまった時間の確保が難しいときにはとにかく短編だな、持続という意味では短編を上手く活かしてやってゆくしかないな……みたいな感じで、今後の僕にとって「短編」はひとつの鍵となるような気がしております。こういう等身大の他愛もない作品がいっぱいあるのってけっこう大事でしょ、とも思いますし。

なお、今作でいちばんのお気に入りは『スメルズ・ライク』なのですが、一番人気は『クロス・ザ・ルビコン』でした。ああいうアホな会話劇は何も考えずにできるというか、おそらくはもともと得意な路線だと思うので、今後もちょろちょろやってゆこうかなと……。

例によってプレイリストも作りました。もしかしたら前にも書いたかもしれませんが、今作(&『晴れでも雨でも』)に登場するクラブはかつて渋谷にあったSimoonという中箱のイメージがもとになっています。

イン・ザ・ドッグハウス

イン・ザ・ドッグハウス

  • 作者:晋太郎
  • 出版社/メーカー: SLEEPING BAG
  • 発売日: 2019/08/03
  • メディア: Kindle
 

今年はこの作品をリリースできたことが何より大きかったです!『フィッシュ〜』で新たに開拓した路線をひとつの軸にできそうだな、と感じられたというか。

自分の「過去」を鮮やかに彩色するのが僕のメインの作風だったと思うのですが、「今」の自分の生活や感覚をベースに物語を作る、というやり方も今後は無理なくやってゆける気がしました。自分との距離が近いぶん容易に美化はできない、でもある種の小説的なフィルターを通して露悪的にならないよう成形することはできる、といった塩梅で。

なので、大人のための(あるいは大人になりきれない大人のための)「今」を描いたお話の割合が自然と増えてゆく……のかなあ。どうかなあ。わからんなあ。

何にせよ、"犬小屋" こと、この『イン・ザ・ドッグハウス』は僕にとって特別な一本となりました。出来・不出来はともかく、ある種の力がある作品だと自負しております。

ザ・ナショナルにガッツリやられたのは "Bloodbuzz Ohio" だったので、もうあれから10年が経っちゃうのかーと。フランク・オーシャンの『Channel Orange』も2012年ですし、俺らは少し前に生まれてきて、まもなく死ぬわけです。この「まもなく死ぬ」という感覚は若い頃からありまして、犬小屋ではそれを前面に出しましたけども、過去の作品たちにも割と滲んでいることかと思います。

Copy, Right?

Copy, Right?

  • 作者:晋太郎
  • 出版社/メーカー: SLEEPING BAG
  • 発売日: 2019/11/29
  • メディア: Kindle
 

こちらは "犬小屋" にのめり込んでバランスを崩さないように書いていた、いわゆる【青春のきらめき】系の一本。「何てことのない話」というのが僕自身の評価ですが、僕のメインの路線として、書ける限りは、そして書きたいことが浮かぶ限りは続けたいと思っています。何というか、若い読者さんたちのためにも。

ただ、同じことを同じように繰り返し書いても意味がない、というか僕が飽きてしまうので、ちょっとずつ「新しい領域」に踏み込んでゆきたいなーと。【同じことを繰り返し書くこと】自体はまったく問題ないというか、それでいいとすら今は思ってるんですけどね!

そういえば、この本をリリースする直前に元彼から唐突に電話がかかってきて、うーんシンクロニシティ……となりました。色んな話をして、知らないままでいたいくつかのことを知って、現実の方がよっぽど作り話っぽいよなとしみじみ感じたり。

天冥の標Ⅰ メニー・メニー・シープ(上)

天冥の標Ⅰ メニー・メニー・シープ(上)

 

ところで、作中で基くんが読んでいるSF小説はコレです。ちょうど1年前、年末年始の休みにブワーッとまとめて読んだんですけど、長大なシリーズを一気に読めるのはこういう休みぐらいだと思うので皆さんもいかがでしょう。いや、僕の小説を全部読むというテもあると思うんですけどね!(姑息)

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そんなわけで、今年の僕の活動はおおむねこんなもんでした。まったく満足できるものではありませんが、無駄に自分を責めるのもやめような!とも思っています。
なお、昨年同様、小説ではない書き仕事もやらせていただいたので、お知らせできるタイミングが訪れた際にはまた告知をさせてくださいませー!

僕の作品を読んでくださった皆さん、応援してくださった皆さん、今年も本当にありがとうございました!今以上のペースでの活動はなかなか難しいかもしれませんし、動けないときはとにかく動けねえ!という事実を受け入れてやってこうと思っておりますが、できる限り、体を壊さない程度に楽しく頑張ってゆきますので、来年もどうか応援していただけましたらめちゃめちゃ嬉しいです。

 

……と、このまま終わるのも面白くないので、以下、今年のオススメ小説などをちょろちょろと簡単に紹介して終わりますね!

掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集

掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集

 

やー、これはもう珠玉の短編集と呼ぶほかない一冊でした。ひとりの女性の人生が詰まっているし、それらの断片がひとつひとつ物語として昇華されているさまがもう……。あー、人生ってマジでやべえよなあ、とアホみたいなことを思いましたし、自分の人生の全部を、悲惨な出来事もひっくるめて愛おしいと感じてしまいました。

これが白眉なんすよ!と特定の短編を挙げるのは難しいんですが(どれも素晴らしいし、とにかく総体に圧倒されるので)、最後の三本「さあ土曜日だ」「あとちょっとだけ」「巣に帰る」を立て続けに読んだときの感覚といったら。

僕も実体験をベースに書くことが多いですけど、彼女みたいなやり方はとてもできないですねー。でも、このまま今のスタイルを守ろうと思いました。そして、どれだけ小規模で、どれだけ個人的なものであろうと、とにかく書き続けたいなとも。書くことの凄味、書き続けることの凄味を突きつけられたような気がします。

息吹

息吹

 

ああ、『あなたの人生の物語の作者だな、俺はこの作者の抱えるテーマに共感を覚えていて、この作者のメッセージを好ましく思っているのだな、みたいなことを感じながら読みました。彼はニヒリズムに抗う姿勢を知性的に示し続けていると思います。

俺らは少し前に生まれてきて、まもなく死ぬ!としつこく書きますが、俺らの人生において唯一確実なのはそれだけで、そのことを意識から追い出すにせよ直視するにせよ、どうであれ俺らはいずれ去るわけです。そういったフレームの中で、どういう希望を見出すのか、人生というものをどう捉えるのか……というのが僕のもっぱらの関心事なのですが、テッド・チャンのスタンスは端的にめちゃめちゃ好みです。彼はもう50代ですけど、ずっと肯定的なメッセージを書き続けているのが、その生き方がすごい。

ものを書く立場から見ると、必ずしもプロット先行の書き方が悪いわけではない、ということがよーくわかるのもけっこう励まされますね。まあこんな緻密な表現はまず真似できないし、美しい奇想も俺からはめっちゃ遠いものなんですけど。でも、書き方に正解はないよなーと。

レス

レス

 

俺らにはファンタジーが、甘い話が必要なのよ!とつねづね俺は思ってまして、というか単に俺個人が強く求めてただけなんですけども、これはズバリそういう作品でした。仮に俺がこのプロットでこの長さの小説を書いたら、最後は別の場所に着地させると思います。同じ結末にするにしても、不穏な要素を取り入れるとか何かしらやっちゃうはずです、何故なら人生はそういうものだから。でも、本当はこんぐらいの書き方をしてしまいたい。何故ならフィクションにはそれが可能で、俺らにはそういったものも必要だから。でも、でも…………みたいな葛藤が俺には常にあります。なので、こういう思い切った作品を他者から差し出されると「ありがとう!」という気持ちになっちゃうんですよねえ。やー、もうシンプルに最高でした。

とはいえ、ただただそういう結末を提示されてもノれないのも事実で、この作品の場合、ペーソスとユーモアのバランスが絶妙だというのも大きいですよね。語り口が面白くて、何よりレスがチャーミングだから肩入れしたくなる、というのもある。けっこうどうしようもねえな、と思う瞬間もいっぱいあるんですけど、だからこそレスはチャーミングなのです。

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以上、オススメ小説でした!(読書家でもないくせに!)

ということで、今年も「こいつらはよく聴いたなー」という曲を適当に(適当にというのが重要です)まとめたプレイリストと、そこには加えなかった、しかしながら今年のマイ・ベストである思い出野郎Aチームの最高に最高に最高なアルバム『Share the Light』を紹介してシメたいと思います。

2019年は彼らのライブに何度も足を運んでエネルギーを貰いました。めっちゃ踊ってめっちゃ歌いました。俺の中の猿川建くんが大騒ぎしているので、モンちゃんファンの方はぜひ頭から通して聴いてみてほしいです。ほんとに!


ちくしょう、かっけえ!
最高の最高だ!俺も頑張ろう!!
どうか良いお年を!

新刊『Copy, Right?』リリースのお知らせ

お久しぶりです、晋太郎です!
新刊リリースのお知らせです!

Copy, Right?

Copy, Right?

 

「あのさ。太田に弟子入りってできる? ────俺、オタクになりたいと思ってて」

絵や小説などの創作を趣味とする、内向的な太田。
サッカー部のエースストライカーとして有名な人気者、殿馬
大学の同期でこそあれ、接点のなかった二人は
"ヌードデッサン会のモデルと描き手" として思わぬ邂逅を果たす。
《体育会系》への苦手意識が強い太田に対し、
《文化系》への妙な憧れをもって強引に近づいてくる殿馬
まるで異なる二人は互いへの理解を徐々に深めてゆくのだが、
それぞれに「今の自分」に至った大きなバックグラウンドがあって……?

"僕らは何かを模倣して、演じる以外のすべを持っていない。
生まれたその瞬間から模倣はスタートする。
それを繰り返す中で、僕らは自分というものを形作ってゆくのだ────"
影響を及ぼし合う二人──そのちょっぴり特殊な友情を描いた、ひと夏の物語。
およそ50000字の書き下ろし青春中編。

(約6000字のBL短編『Spil Milk』を併録) 

今作は、8月にリリースした『イン・ザ・ドッグハウス』と同時期に書いていた一本です。既にその当時99%書き上がっていたのですが、入院したり手術したり通院したり通院したり通院したりで、まーあ永らく放置することとなってしまいました……。

通院と本業の隙間には、ご依頼いただいていた原稿の方を進めてまして、どうにもまとまった時間が捻出できなかったわけなんですけども、先日そちらの納品が終わったため「おーし、ボチボチ自分の作品に戻ろう!」ということで、手始めにストックの中から本作を(ササッと推敲したうえで)リリースすることにした次第です。

さて、今作は "やさぐれおっさんモノ" である『ドッグハウス』を執筆する上で、自分の中でバランスを取るために書いていた、いわゆる "青春モノ" となります。こちらもプロットレスだったので、どういう話になるのか自分でもわかってなかったのですが、いつも通りのノリで書きつつも、今までとは違う何かをちょびっと入れ込みたいよなーという感覚があったことは覚えてます。主人公がナードな文化系というのも僕の作品的には割と珍しいので、ちょびっとオタク臭い言い回し(ナインの宮内くんほどではないですが)を意識して楽しく書いてました。

恋愛の要素が強い作品を立て続けに繰り出していたこともあって、単なる恋愛モノではない一本にしたい!という気持ちもあったかもしれません。結果、ちょっぴりヘンな話となりましたし、実に何てことのないお話でもあるのですが、個人的には彼らを愛おしく感じております。恋心と友情を同時に描いてるヤーツ、と考えるとまーあ全然いつも通りかもしれませんけども。

(なお、『ドッグハウス』との対比は特にない……つもりではあったものの、あちらを「性依存」の話と捉えると、ある意味では対照的な部分もあるんですかね?うーん、わからない!)

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ということで、例によってリリース直後がいちばん安く、後から価格を上げてゆくかたちを今回もとりますので、少しでも気になるという方はぜひぜひお早めにどうぞー!

ツイート、レビュー、マシマロ、イラストなどなどのリアクションもお待ちしております!といっても今回、外見描写はかなり控えめにしましたので、いつも以上にイラストは描きにくそうなんですけども、お好きに想像していただけたら嬉しいなーと……!

どうかどうか、よろしくお願いいたします!


Snail Mail - Pristine


Billy Joel- Don't Ask Me Why

最後に、今回は音楽をほぼ使わなかったので、このエントリで作中に登場する音楽もササッとご紹介しちゃいます。基くんがかける曲がスネイル・メールのコレで、辰仁くんが歌う曲の一例として挙げられているのがビリー・ジョエルのコレです。どちらも特に意味はありませんが、"Don't Ask Me Why" は俺も車の中でよく歌ってます。歌ってて楽しいんですよねー、コレ。

晋太郎作品に寄せられたイラストたち その34

こんばんは!夏休み明け早々、忙殺されたかと思いきや救急車で運ばれて入院し、点滴絶食ダイエットに成功したため今後はちょっと食事に気をつけてさらに痩せんべ!と誓いを立てたばかりの晋太郎です。仕事が忙しいです。寝冷えで風邪をひきました。あい変わらず季節に敏感でやばい。
しばし、しばしば(芝犬を想起させる表現)通院したり入院したりせねばならないのですが、まーあとりあえず生きてとりあえずがんばります!追われている!

ということで、拙作に寄せていただいたイラストのご紹介エントリです!

犬小屋は(いろんな意味で)イラストにするのが難しいかもなあ、とおぼろに思っていたのですが、まさかの犬シフターで頂戴しました!しかもたかさきさん(たかさきけいいちさん)が描いてくださるなんて!と軽くパニックに陥った1枚です。
というのも、僕はかねてより純粋にたかさきさんのファンで、その唯一無二とも言える空気感や語り口にやられまくってきたのです。これはtwitterでも繰り返し書いていることではありますが、特に作品の入り方と終わり方(に用いられるモノローグ)が本当にやばいんですよね。うわあ、と声が出てしまったことも何度かあって、そのたびにジタバタしてきました。「魔法的な飛躍」と秀杜くん(俺のキャラです)なら言うかもしれませんが、そういうものが優れた作品にはジャンルを問わずあると思うんですけど、たかさきさんの作品にはそれがあって、しかも「ここにあるのは計算ではなく、ただただ感性なのでは?この感性こそがたかさきさんの作品を唯一無二のものに仕立て上げているのでは……?」と憧れを抱いていたので、そして僕の作品(語り過ぎ・大仰・ナルシシスティック)とたかさきさんの世界が交わることはまずなさそうだなと思っていたので、もう本当にびっくりしたわけです。嬉しかった……。

と、ラブレターめいた文章を書き連ねてもアレなのでほどほどにしておきますが、たかさきさんの絵柄で自分のキャラが見られたのはやはりどうしようもなく嬉しかったです。長嶺はいけ好かない奴だなーと思ってたんですが、このイラストを見て「あー、でもこれはかっこいいよズルいよ」となりました。武蔵くんも武蔵くんらしくてときめきました……。

入院しているときにいただいたもので、これはちょっと泣きそうになりました。(入院初日のことは朦朧としていてよく覚えてないんですが)決して大ごとではなかったですし、「へっちゃらですよ!」という顔をしてはいたものの、飯は食えないわ、プライベートがないわ、人として見做されていないような、社会から隔絶されたような、人権を剥奪されたような……大袈裟ですが少々そんな気分にもなっていたので、「うわあーありがとうございます!」と救われたというか。手ぶらでやってきた様子の和毅が愛しくて、性的なものを一切抜きにして5分間ぐらいハグさせてくんねえかな、とマジで思いました。これはより「たかさきさんの絵だ!」という感じが強くて猛烈にしあわせ感じましたねえ……。

やー、しかし入院ってやばいですね。健康に生きて健康にくたばりてえなとしみじみ感じましたよ。そんな状態でアンドリュー・ショーン・グリアの『レス』の続きを読んだんですけど、俺は絶対にこういう結末にはできない!この筋でこの尺を使ってこの結末!すごい!ファンタジー!俺にはできないけどこういうの読みたかった!みたいに悶えました。人生には色々あります。

今回、いちばん絵にしにくいのは武蔵くんだろうなあ、と思っていたのに、その武蔵くんのイラストをいただける不思議……!でも、武蔵くんを描いてみたいという声も多かったので、「描けるなら描いてみたい」みたいなポジションのキャラクターになれたのかもしれません。俺の推しです。折りますけどね。

イン・ザ・ドッグハウス

イン・ザ・ドッグハウス

 
双星と遊星のダンス (星雲と半風子)

双星と遊星のダンス (星雲と半風子)

 
レス

レス

 

たかさきさんは藤丸心太くんの小説(心太くんの小説もほかにない個性をもった作品が多い!)のイラストを複数描かれてますが、個人的に特に好きなコレのリンクを貼っておきます!

こちらは黒森さんの誕生日シリーズ(と呼ばせていただきます)!裕也と保は綺麗な感じでいいですね。特に保のイラストの透明感には「うわー、爽やか!」となりましたし、BL作品だったら裕也とか保とかがメインキャラクターになるのかもなーと。まあ、琢磨や宗匡もBL向きだと個人的には思うのですが。
ナインはストーリーの都合上、作中で誕生日を迎えるキャラがいてはいけない感じで、結果、夏生まれがほとんどいないという設定になってしまったのですが、孝介は夏生まれにしたかったんですよね。エピローグの前にきっと盛大かつアホなパーティーがあったんだろうなと想像してます。
しかし振り返ってみると、メインの主人公だと思われるであろうキャラクターをああいう性格にしたのって結構冒険だったんじゃ、という気もしますね。語り手にはまずなれないキャラですし。でも、そんな孝介というキャラクターをあのポジションに置いたことで、ナインは上手いこと纏まったのかな、とも感じます。
……ということを改めて考えるような、そういう孝介の、眩しいイラストでした。
いつも本当にありがとうございます!

ナイン・ストーリース? -球児九人夏物語- side A ナイン・ストーリーズ

ナイン・ストーリース? -球児九人夏物語- side A ナイン・ストーリーズ

 
ナイン・ストーリース? -球児九人夏物語- side B ナイン・ストーリーズ

ナイン・ストーリース? -球児九人夏物語- side B ナイン・ストーリーズ

 

こちらはポロさんによる『マイ・ファニー・バレンタイン』のユウ&ダグさん&ダグさん!ポロさんが描くユウは「颯爽として魅力的」ですねえー。そして犬のダグさんの顔がクソかわいい。なんでそんな表情してるんや……。

事後に宣伝を掲載しても、という感じではあるんですが、近頃ではご自身の作品を旺盛に作られているポロさんです。やっぱりポロさんのかわいいニーチャンはどうしてもかわいいなー、と改めて。気になる方はぜひtwitterでフォローをしてみてください。そういう方は既にフォロー済みだろうとも思いつつ!

マイ・ファニー・バレンタイン

マイ・ファニー・バレンタイン

 

イラストを描いてくださったみなさま、本当にありがとうございました!
しばしバタつきそうな、てんやわんやな日々が続きそうではありますが、健康に気を配りつつ、今後も活動を継続したいなーと思っております。それでは!