『ティーンエイジ・キックス』に登場する楽曲たち

こんにちは。新刊をご購入くださったみなさん、早くもご感想を寄せてくださったみなさん、本当の本当にありがとうございます!引き続きリアクションをお待ちしております!

ティーンエイジ・キックス

ティーンエイジ・キックス

 

さて、例によって作中に登場する楽曲+αのエントリです。いつもはリリースからもう少し時間を置いている気がするんですが、今回は音楽とともに楽しんでほしい思いが強いのもあって、早くもやっちゃいます。
ただ、全曲紹介するとさすがに多いやろ!って感じなので、ここでは一部抜粋しつつのご紹介にしようかなと。(*Spotifyの方はおおむね全曲になってます)


「昼休みは放送委員が好き勝手に曲を流している」ってことにすればやりたい放題やん!という実に安易な考えで設定を作りました。どんな高校だよ……。ちなみに小学生の頃ではありますが、俺はそれをやってた覚えがあります。放送室でメシが食える特権つきで楽しかったです。


 『コーヒー&シガレッツ』経由で仁平が好きになるトム・ウェイツ。本当は "Downtown Train" にしたかったんですけど、歌詞的にコレだと面白いかなーと。
ただ、実際にカラオケに入ってたらなかなかヤベエですよね。これを半裸で歌ってる太めの高校生はもっとヤベエですけど。どんな気持ちで聴いていたらいいのか。


何の意図もなくリル・キューが "ラクガキ" に使ってしまった曲はコレ。最後の方で一球くんが着るティーシャツもN.W.Aです。
しかし仁平は一球のために古着を買い置くとか、割と度を越してますよね……相思相愛で末長くハッピネスしてほしい。今作のいちばん強いカップルはペイ&Qでした。


一球が特に好きなのは「チャンスくん」でしょ!というのは最初からなんとなく決まってました。そしてこの曲のかわいい感じ、"I've got plans to hug and kiss ya♡" とかめちゃめちゃ一球だなーと。
しかし彼はLPを買うだけでなくiPodにまで曲を入れてるので、今時の高校生としては相当に変わってますよね。お金に困ってないからという前提はありそうですが、リスペクト!の対象にはお金を払いたい子なんやと思います。


ラッセルを持ち出すためだけに使ったゴリラズです。これは『Demon Days』の収録曲じゃないんですけど場面の雰囲気的にはこんな感じかなーと。
ここでも "今" っぽくするならスロータイくんとの新曲か?ともチラッと思ったんですけど、それだとその時点で早くも仁平が踊ってしまいそうな気配もあって。

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金田からラッセル(右下)に変わるって結構だよな、仁平……。
たぶん輪郭とか眉毛の感じが似てるんだと思います。


音楽は好きだけど特別にのめり込んだりはしないぜ、みたいな壮亮くんがググッと惹きつけられるムラ・マサ。この曲を作中で使った後に『R.Y.C』がリリースされ、「うわー、アルバム全体もシンクロするじゃんか!ビデオはダサいけど!」と盛り上がりました。
2020年リリースのこの作品を用いたが故に「コロナのない世界」であることの不自然さが際立ってしまったんわけなんですが、作品のトーンに影響を与えたアルバムなので取り下げることもしたくなくて……。ともあれ、このBPMで踊る仁平は相当キレキレなんだろうなーと思います。


ドゥ・ザ・ライト・シング』のティーシャツを着る一球。"Fuck Tha Police" の件も含め全体的にですが、ジョージ・フロイド氏の事件〜BLMの巨大なうねりが起きる前に書いた作品だったこともあって、これを今出していいんかな……とかなり悩みました。もちろん一球にも彼なりのバックグラウンドがあるわけなんですが、表向きはただただ無邪気だしなあと。当初は「ムーキーからラヒームに、ってぐらい背が伸びた」みたいな描写もあったんですが、そういうのは削除しました。


昨年の暮れに出た『No Holiday』がキムの遺作となってしまい(ALS、筋萎縮性側索硬化症との闘病を続けていたそうです……)執筆当時によく聴いてたんです。I don't know why you're so glad / when my head's filled with sorrow / So maybe if I fade away / there'll be no sad tomorrow とサビで歌われていて、以前から「切ねえけど大好き!」と思ってましたが、執筆中はこう余計に色々感じるものがあって。名曲。


作人が聴いていたフランク・オーシャン。他にもこんなアーティストが好きなんだろうなあ、そして一球(たち)に色々教えたんだろうなあ、などと妄想してたんですが、作中では使いませんでした。
なお、件のティーシャツは90'sのヴィンテージ古着っぽいので、一球のはフェイクなのか、あるいは仁平パワーで手に入れたものなのか……。

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この「INSTANT KARMA」はおそらくジョン・レノンの曲からきてると思います。俺もコレほしいんです!


トム・ウェイツ以外にも仁平の好きなアーティストを出したいな、ということで本棚にチラッとその筋の本を紛れ込ませました。俺の青春のバンドのひとつなんですが、今聴いてもやっぱり猛烈にかっこいい……。
DブーンはいわゆるThe 27 Clubのひとりで、拙作『タイトロープ・ダンシング』でその話題が出たとき、主人公の寛次くんが絶対に思い浮かべたであろう男ですね。あと『サンキュー・マイフレンド』のふたりもこのバンドが好きです。


屋上で一球がひとりでユラユラ踊る……という場面を書くことになったとき、この曲しか浮かばなかったんですよ。歌詞(和訳はこちら)もかなり場面に合っていて「うわあ……!」とひとり盛り上がロールでした。一球は「カリードくん」と呼んでると思いますし、ファッション的なお手本にもしていそう。作者のアイドルです。


ムラ・マサは壮亮のイメージで持ち出したんですが、この曲だけは一球チョイスで、やっぱり(?)こいつはこういうのが好きなんだなあと。で、奴にとってこの曲の "you" はひとりじゃないし、"we" はふたりじゃないよな……みたいなことを思いつつ、ステップを踏んでる一球の絵面を想像してやばくなっていました。奴は英語わかりませんが。やー、こういう胸キュンソングめちゃ好きなんですよね……。


壮亮がいちばん好きなのはコレ、ということで。歌詞の引用はしないという方針で書き始めたんですけど、最後の最後にどうしてもやりたくなっちゃいましたね……あの場面で流れてたら絶対にいいなと思ってしまって。ただあれはめっちゃ壮亮くんの意訳なので、すみません。しかもルビなので文字数も抑えなきゃいけなくて!


一球がATCQティーシャツを着る場面は序盤ですが、Can I Kick It? は最後の方にあった方がいいよね、みたいな感じで。Can I Kick It? (Yes, you can!!!) という気持ちで。
なお、ヒップホップの世界で「Q」といったら誰もが思い浮かべるのはまずATCQのメンバー、Qティップではないかと思います。


これは作中には出てこないんですが、最後のシークエンスで流れてるのが壮亮の "Teenage Headache Dreams" だとしたら、エンドロールの黒い画面では一球好みなコレとが流れててほしいなあ、みたいな、そういうことを考えながら執筆してるんです。いつもってわけじゃないですよ!だいたい!

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ということで、楽曲紹介でした。
なんだかんだほとんど載せてしまったような……まあいいか!

ちょっと放心してますがまたがんばります!それではっ!!