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ソロモンの偽証

ソロモンの偽証 第I部 事件

ソロモンの偽証 第I部 事件

 

長らく積んでた(2000ページ超えてるので尻込みしていた)作品。
とある中学校でひとりの少年が屋上から転落して死亡、という出来事に周囲が翻弄されてゆくおはなしなんですが、このテーマをここまで膨らませて、かつ読ませるのはやはりさすがだなーと思いました。ミステリ的なドキドキがないこともないけど、登場人物の魅力に惹き込まれて読めちゃったという感じ。後半にかけてどんどんそういう宮部節が炸裂してゆきます。

事件の真相を究明すべく、生徒たちが裁判(を模倣したもの)を行うんですけど、そこに至る経緯もろもろ、さすがにそんなこと許されないっしょ……とリアリティを感じにくい面も多々ありました。しかし、きっちり説明はされてますし、フィクションとしてはまあアリなのかなーという範疇。裁判中に「え、そこで傍聴席から笑いが起きるか?」と引っ掛かったりもしつつ、そういうのも瑣末なことかなと思えるぐらいの高い熱量でした。

1、2部は壮大な前振りというか、個性的かつ魅力的な(といっても宮部作品では割と既視感のある)キャラクターたちに愛着を抱かせる仕組み、ぐらいの感じで、3巻こそが真骨頂でしたねー。というか、1~2巻での巨大な下地がないことには3巻で展開される裁判(ごっこ、というにはあまりにも本格的ですが)と人間ドラマに説得力を持たせることができなかったのだと思います。宮部作品には「そんなできた中坊そうそういねえよ!」というアンファンテリブルな連中がよく登場しますが、この作品は特にそういう傾向が強いのもあって余計に。

読後感としてもミステリ的な面でスカッとするとかそういうことはなく、思春期の少年少女たちの成長やら心の機微にグッとくるという感じでしたねー。裁判を傍聴する者の視点で観察される少年たちの細かな描写もすごく良かったし、宮部みゆきは「人間」を描くのが本当に上手いっす。

ということで、もちろん少女たちもちゃんと魅力的なんですけど、ショタッ気の強い作家として有名な宮部はやっぱり少年っすねー。登場人物がかなり多いのもあって、実に様々なタイプのチャーミングな少年たちのカタログのようでもありました。
個人的なお気に入りは、勉強も運動もダメで野暮ったい、だけどとても心根が優しい行夫くん。次点で、聡明だけどいわゆる普通の少年像から特に逸脱していない、"男の子感"がとても強かった吾郎くん。や、みんな愛らしかったんですけど。
そしてこれは余談になりますが、おそらくゲイの一番人気はヤマシンこと山崎晋吾くんだと思います。口数の少ない男気空手坊主だし。控えめで誠実で男らしく頼もしいとか出来過ぎっすわ。

ともあれ、文庫本で安くなったら買っても損はしないんじゃないかなーと思います。ちなみに宮部作品の良少年(高校生も含む)作品でパッと浮かぶのはステップファザー・ステップ(後に荒川弘がイラストを描きました)、『蒲生邸事件』、島崎くんシリーズ『今夜は眠れない』『夢にも思わない』(後に志村貴子がイラストを描きました)、『小暮写眞館』神木隆之介主演でドラマ化)などなどです。蒲生邸の孝史くんはめっちゃいいコで可愛いですよ。ティーンのタイムトリップモノに弱い……。あ、『パーフェクト・ブルー』の進也くんもベタな感じでいいっす。ドラマでは中村蒼がやってたような。そういうことだったら熱く語れます。社会不適合者です。


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最後に、何の関係もありませんが、クリスマスシーズンには毎年聴く1曲でシメときます。1983年にUKチャート1位をとったキラッキラソングです。みなさん、メリークリスマスでした!