『イン・ザ・ドッグハウス』に登場する楽曲たち

こんばんは!新刊『イン・ザ・ドッグハウス』をご購入くださったみなさん、本当に本当にありがとうございました!
やー、疲労困憊な状態で夏休みに突入して完全に惚けておりましたが、今夜は作中に登場する楽曲紹介のエントリ(*ネタバレを含む)を立てることにしました。ということで以下、簡単にですが、コメントを添えた動画を載っけてみます。Spotifyのプレイリストも併せてどうぞー!

イン・ザ・ドッグハウス

イン・ザ・ドッグハウス

 


『イン・ザ・ドッグハウス』は『フィッシュ・イン・ザ・シー』に登場したゲイバー《ビッグ・フィッシュ》のシーンから始まりますが、鯨井さんがいるときにもジョン・グラントが流れていたので、たぶんタイちゃんか誰かが好きなんでしょうねー。ゲイであること、HIVポジティブであることなどをオープンにしたアーティストです。彼の「内面を曝け出してく」感じ、個人的にめっちゃ惹かれます。

今作は完全にプロットレスで書き始めたものの、『Gray Tickles, Black Pressure』(中年の危機と悪夢)な話だろうという感覚は最初からあったのでしょう、初稿の時点でこのMVが流れている描写がありました。(なお、舟場は中年とするにはまだちょっと若いかもしれませんが、 "中年の危機" そのものというよりも、それへの予感と不安を描いた作品ということでご容赦ください……!)

しっかし "All these things they're just disappointing compared to you" のエモさたるや……。この曲はエブリシング・バット・ザ・ガールのトレイシー・ソーンと一緒にやっております。


 


空港へ向かう舟場さんが車中で再生するザ・ナショナルの『Sleep Well Beast』。その冒頭の2曲となるのがこちらです。そらーああいう気分にもなるわ、という感じですよね。"The day I die, the day I die / Where will we be...?" クッソ名盤です。

僕は "Bloodbuzz Ohio" あたりでガツンとやられたクチなので割と近年のファンだと思ってたんですけど、調べてみたらあれは2010年でした。はー、時の流れが早すぎる。


未発表作『Run,Jump and Throw.』のキャラクター(ゲイライター)がその作中でこのアルバムのレビューを書いてたんですが、それを引っ張ってしまった感じがあります。『フィッシュ〜』のときもそれでモンクの曲を使ったので、「未発表作のくせに生意気だ!」状態になってますね。やべえ。

この曲は個人的に思い入れが強すぎるというか、「夏の終わりに絶対に聴く1曲」となってしまいました。できれば10代後半〜20代前半ぐらいでそれをやりたかったなーと思いつつ、彼のようなアーティストがいてくれる今に感謝したい気持ちが強いですね。やー、歌詞も最高じゃないすか。マッチョさが全然ないし。どうであれ死ぬほどキュンとくる……。


プロットレスで書いていたため、最後の章に入った時点でもまだどういう展開になるのかよくわかってなかったんですが、「まさかこの曲を使うなんて!」と自分でビックリしました。「いやーこれはやりすぎでしょ」と軽く引きながらも「でも他になくね?」と勝手に納得してしまったような感じです。タイトル部分はもちろん、歌い出しの "So messed up I want you here / And in my room I want you here" もしっくりくるというか、「そりゃーめちゃくちゃだよね!」みたいな気分で。

---

ということで、以上、『イン・ザ・ドッグハウス』に登場する楽曲たちでした!

敢えて既存の曲を使おうという意識はまーーーったくないんですけど、書いていると自然とそういうことになってしまうので、これは俺という人間がものを書く以上はやむを得ないことなんじゃないかなーとも最近は思います。何せ生活の一部ですし。

それではまた!!

新刊『イン・ザ・ドッグハウス』リリースのお知らせ

微妙にお久しぶりです、晋太郎です!
これまた微妙に久々な、新作中編リリースのお知らせです!

イン・ザ・ドッグハウス

イン・ザ・ドッグハウス

 

「で。犬の飼育をやめた代わりに、犬っぽい男と遊んでんだ?」
「なるほど。犬は生涯に一匹でいいというわけか」
「行辰さん、犬の話をたまーにしてくれますけど、絶対に名前で呼ばないすよね」

社会の洗礼を受けてくたびれ始めた、育ちの良い【レトリバー】。
オープンリレーションシップの恋人をフランスに持つ、辣腕SEの【シェパード】。
異性愛者の師に想いを寄せ続ける素朴な刺青職人、【四国犬】。
そして、長年のパートナーと別れてからというもの、放埓な生活を送ってきた三十男・舟場行辰。
どこか犬に似た三人の男たちとの怠惰な日々の果て、それぞれとの関係に変化が兆す。

“分散しろ。一極集中では重すぎる。分散しろ──。”

種々の別離に触れ、臆病風に吹かれたひとりの男が辿り着く場所とは────?
暑過ぎる夏、熱波に焦がされる犬たちの《変化と選択》の物語。
約51000字の書き下ろし中編。

 ……という感じの一本で、つまりは犬ども(比喩です)のお話です。

今や僕の作品は完全に《キラキラティーンorやさぐれおっさん》となっている節がありますが、今作は後者ですねー。本当は(バランスを取るためにも)前者に該当する中編『Copy, Right?』と同発にする予定だったのですが、「私生活の諸々によって近々身動きが取れなくなるのでは……!?」的なやべえ予感が現在ありまして、「うおー、急遽こっちだけでも出しちゃおう!今のうちにさっさと出しちゃおう!」と判断をくだした次第です。

両輪の片方だけだとバランスを欠くなー、という思いも実のところあるんですが、「リリースの感覚が空きすぎてしまうと臆病になる」「手放すタイミングを見失う」というのは経験的によーくわかりましたし、「ここはまた読者さんの反応をエネルギーに変えて、どうにかしばらくやってきたい!」みたいなアレもあります。初稿からほとんど変わってないやん!そんなら4月ぐらいにリリースできたやん!と己にツッコミを入れつつ、どうかどうか、みなさまよろしくお願いいたします!

さて、今作の内容にざっと触れますと、《セックス、延いては他者との関係の在り方》について書いた一本になるのかなーと思います。「俺が歌を作るときのテーマはセックスと死だけなんです」と若かりし日の草野マサムネ氏は言ってしまった(ウヒャー)そうですが、実は僕の今作にも《死》の影がちょろちょろと顔を覗かせております。ということで、ほの暗い要素もあるのですが、言っても「あー、いつもの感じやん?」で済んじゃうぐらいのもんですし、おそらく犬どもは魅力的なキャラクターになっていると思いますし、身構えず、軽い気持ちでお読みいただけますと嬉しいです。何より「犬が好きだ!俺は犬が好きなんだ!」という偏向を押し出せて僕としてはたいへん楽しかったので。《犬の比喩》《犬のような男》を僕は繰り返し書いてきましたが、全編その調子というのはさすがに初めてでしたし、うーん、楽しかったなあ……。

やー、みなさんにも楽しんでいただけたら本当にしゃーわせなのですが、いつもながらリリースしてみないとその辺はわかんないですね。クソこわ!
なかなか癖の強い作品ですが、どうか楽しんでいただけますように!

毎度のことですが、ご感想、激励、イラストなどなどのリアクションもお待ちしております!どうかよろしくお願いいたします!まだまだガンバルトーーー!

晋太郎作品に寄せられたイラストたち その33+α

こんばんは!夏ですね!違うか!
『マイ・ファニー・バレンタイン』のリリースから早3ヶ月。色々とあって作業できたりできなかったりな日々ですが、次回作の準備も一応は進んでおります。完成後にリリースを見送ることもちょいちょいあるため、実際にどうなるかはわかりませんけども、次は『イン・ザ・ドッグハウス』という(いつもの)やさぐれおっさんモノ、『Copy, Right?』という(恋愛メインではない)"オタク男子meets体育会男子" モノのいずれかを発表したいなーと。ともに中編ボリュームです。短編や掌編もあるのですが、短編集にできる分量はまだないので……、ともあれマイペースに楽しくがんばります!
と、いうことで、この3ヶ月間に頂戴したイラストの数々をご紹介させてください!

★門前三兄弟

まずはどうしてもこちらのイラストから。碌くんです。あまりにも多くを読み手に委ねてしまったことで反省のあるキャラクターなんですが、こうして魅力的に描いていただけてたいへん嬉しいです。読者の皆さんそれぞれのイメージがあるかと思いますけど、ポロさんの碌くんが見られてしあわせだなあとしみじみ……。2枚目のイラストで流れてる曲は、たとえばフィッシュマンズの "In the Flight" かなあ、とか色々想像しました。

啓史のイラストをいただけるのも嬉しいんですよねえ。啓史と甲太郎は相似的なところがあって、作中での直接的な接点はないものの、互いにすごーく気になる相手なのではないかなと思ってたりします。まあ啓史の方はバリバリ意識してる描写がありますが、それとは違う意味でも。しかし小麦色の啓史かわいい!清次の横顔もいい!

三兄弟、それぞれの魅力を切り取っていただけて……(合掌)。どれも好きですけど、やっぱり清次の "捻くれてるけど根はまっすぐ"、という感じを引き出して貰えているのが特にグッときました!

いやー、捏造というか実際に奴らはいちゃいちゃしてたと思うんですよね!というかしてました!しかし甲太郎の顔面がかわいい。デフォルメもかわいい。かわいいしか言えないのか、って感じですがかわいいもんはかわいい。ちゃんと個性が出てるっていうのがまたやばいですよね……。

★マイ・ファニー・バレンタイン

そして新刊です!ばんじゃくさんにいただいたダグさん(たち)!初めて目にしたとき「うわああ、俺のキャラとは思えない!」とまず思ったんですよね。こういうイラストをいただけるようになったのって俺的にはすごい変化というか、ずっと痩せたニーチャンばっかり書いてきましたから、「俺も太めのおじさんを書けるようになったよお!それをばんじゃくさんが絵にしてくださったよお!」と感動も二倍に。犬のダグさんも当然のようにクソカワで、その肩にポンと手を置く、冴えないけど優しそうなダグさんの丸っこい姿が本当に嬉しかったです。

こちらは黒森さんにいただいたイラストです!短編中編はキャラを立てすぎず、外見描写も控えめにしているのでイメージは本当に人それぞれになると思いますが、ユウくんの感じはばんじゃくさんのそれと通じるところもあって、なんだか不思議です。で、ダグさんはおっとり感が強くかわいらしい感じで「なるほど、なるほど!」と。黒森さんも俺と同じで基本は細めのキャラを描く方なので、ぽちゃっとした絵が見られて妙なお得感もありました。何も考えずに書くと俺から太めキャラは出て来ないんですけど、嗜好の幅が広がっているのを感じてもいるので、今後も色々とやってみたいなあ……。

その他、ご感想ツイートもドドンと貼りたいぐらいなのですが、さすがに自重します!ですが、頂戴したご感想めちゃめちゃありがたく拝読しております。ハイパーありがとうございます!!

★誕生日シリーズ(?)

薄情な作者が誕生日を忘れているというのに……いつもいつもありがとうございます!黒森さん、ナインのキャラクターの誕生日をずっと祝ってくれていて。前にも書いたかもしれませんが、書いてるに決まってるんですが、架空の人物の、それも2013年にリリースした作品に出てくる連中の誕生日を欠かさず祝っていただけるなんて至上の喜びです。まるで奴らが本当に生きてるみたいじゃないですか!
源太と健太はともに子供の日生まれなんですけど、黒森さんとポロさんでダブルに祝っていただけてまーじやばかったですね。間に挟まれてポワーッとしたいです……。
(あと、俺の誕生日にお祝いコメントくださったみなさんもありがとうございました!もう誕生日そのものはまーったく嬉しくないですけど、おめでとうと言って貰えるのはやっぱり嬉しいなと!)

そして以下は、カテゴリ別ではないですがポロさんのイラストです!

ウルフドッグのむにゅーん動画を元ネタに描いてくださったシロくん!シロくんは何しても怒らなさそうですよね、フフフ……。ウルフドッグを見るたびに「シロくん!」と作者はいつも思っています。

やー、もうこういうの見ると泣いちゃいますよね。生きてて良かった、みたいな。そしてがんばろう、という感じで。俺の青春のきらめきはもうだいぶ書き切った感があって、新たに書く必要性をそこまで感じてないんですけども、サマーフレンドみたいにテクニック(?)で書くことはできるとわかりましたし、書き始めちゃうと一気に脳内がティーンの頃に戻って楽しいので、これからも一定の頻度ではやりたいですね。
しかし琢磨のアホな彼女(思い出野郎Aチームっぽく)かわいいなあ。サンキューのイラスト、これはもう表紙にしたいよなあ……。

----------

いつもながら、本当にありがとうございます!イラストはもちろんのこと、皆さまからのご反応はめっちゃ励みになります!ありがとうーーー!!TOKYOーーー!!

門前三兄弟 -ゆく河の流れは絶えずして-

門前三兄弟 -ゆく河の流れは絶えずして-

 
マイ・ファニー・バレンタイン

マイ・ファニー・バレンタイン

 

『マイ・ファニー・バレンタイン』に登場する楽曲たち

ということで、例によって作中に登場する楽曲のエントリです!

まずはSpotifyのプレイリストを貼らせていただきますね(まーじ便利!)

マイ・ファニー・バレンタイン

マイ・ファニー・バレンタイン

 

そして以下、実際に作中で流れる曲だけYouTubeも貼っておこうかなーと思います。簡単なコメントつき。

『クロス・ザ・ルビコン』の冒頭より。スーパーボウルで割とボロクソに叩かれていたマルーン5です。この曲のMVはご覧の通り【結婚式のサプライズ】ネタなんですが、おそらくこの選曲も雄介の妻でしょうから、まーあ相性がいいのかもしれませんね。ちなみに僕はサプライズをするのもされるのも割と好きではありますが、他者を巻き込んでのやつは苦手です。

『オブスキュリティ・ノックス』のタイトルにもなっているトラキャンの楽曲です。視力とは何の関係もありません。トラキャンのこの曲は『春色ボタン』でも使ったのですが、この曲が特別に好きなだけで、バンドには別段思い入れはなかったりします。

『マイ・ファニー・バレンタイン』のタイトルで拝借した有名な一曲です。作中で侑が思い出すのはサラ・ヴォーンのバージョンだろうなと思うんですが、僕は俄然チェット・ベイカーが好きですねー。こんな風に歌えるイケメンだったらショーセツなんて絶対書いてねえ。

『スメルズ・ライク』のクラブ(ラウンジ)で流れている音楽です。僕はKOMPAKTレーベルが好きなのですが、ユルゲン・パッペはウォルフガング・ヴォイトやマイケル・メイヤーとともにレーベルを創立した人物です。このトラックは胸キュンですね……。
そしてイェジちゃんはもう最高にツボで!Boiler RoomでのDJプレイがお気に入りでいまだにちょいちょい聴いてしまいます。こういう感じのラウンジをイメージしつつ書きました。登場するクラブは、ロケーション的にはUNITっぽいですが、かつて渋谷に存在したクラブのイメージで書いてます。青春……。

やー、まあ特別に音楽が重要な小説たちではないのですが、例によってのご紹介という感じでした。今後も音楽はちょいちょい登場させてしまうのだろうなーと思いつつ、あまり引用に頼り過ぎないようにと、頭の隅に置いておきてえなとも思っております。いや、必然性があったらやりますけどね!

じゃあの!(よろしくお願いいたします!)

新刊『マイ・ファニー・バレンタイン』リリースのお知らせ

習作短編集・第4弾のリリースのお知らせです!

──といっても、第3弾は『ライク・ア・デイドリーム』ですから、実に3年半ぶりなんですよね。やー、その間、ほとんどの期間は死んでましたし、そうでないときは長編や中編にかまけていたため、短編を書く感覚は久々でした。
「あ、短編ってまーじトゥルッと書ける。ラク。自由で楽しい!プレッシャーもない!」という感じで気楽に進めました。主に昨年の12月にササッと書いた作品を集めております。習作ですので、お気軽にお読みいただけたら嬉しいなーと思っています。

ということで、以下、内容紹介です!

マイ・ファニー・バレンタイン

マイ・ファニー・バレンタイン

 

実験的な習作を詰め込んだ(広義における)BL短編集・第4弾。

<収録作品>
1.クロス・ザ・ルビコン
《親友》の結婚式で出会ったアラサーの男二人──。
"で、お前の方はどうだったんだよ。どうやって川を越えたんだ?"
奇妙なカップルが互いに過去を振り返る。
約12000字。

2.オブスキュリティ・ノックス
視力の低下を嘆く三十代の中学教師と、二十代の陽気な恋人。
"ものが見えにくくなったぶん、世の中の粗も全部見えなくなっちまえばいいのに……"
生徒たちの未来を憂う中年男の、とある日曜日の一コマ。
約16000字。

3.マイ・ファニー・バレンタイン
マッチングアプリで知り合った、顔さえも知らない相手──通称「ダグさん」。
趣味の合うチャット友達として一年以上が過ぎた頃、突然に彼が会うことを提案してきて……?
約31000字。

4.スメルズ・ライク(オマケ収録)
"知ってる? 感情にも匂いがあるんだ。
飼い主の悲しみに犬が寄り添ったりするのはさ、感情の匂いを嗅ぎ取る受容体を持ってるからなんだよ"
《社会》からドロップアウトした三十男と、《学校》からドロップアウトした青年の風変わりな会話劇。
約15000字。

今回の特徴としては「三十代の男性がメインの作品がほとんど」ということになるかもしれません。まあ俺も歳食ったもんなー、としみじみしたんですが、冷静に振り返ってみると『タイニー・リトル・ミラクルズ』も似たようなもんでしたね。なのでいつもの《おっさん×青年》をお楽しみください!でも良さそうな気もしつつ、明らかにおっさんに焦点が合っている感じはやっぱりちょっと変わったんじゃね?とも思います。まーあ、どうでもいいですね!

ところで、表題作の『マイ・ファニー・バレンタイン』だけは昨年の春頃、『Dear, Summer Friend』『フィッシュ・イン・ザ・シー』と並行して書いていたものになります。当時【10代のキラキラ】、【30代のウジウジ】なんて表現をした覚えがありますが、これについては【20代のグラグラ】みたいな感じかなーと。

どうかどうかよろしくお願いいたします!!