新刊『マイ・ファニー・バレンタイン』リリースのお知らせ

習作短編集・第4弾のリリースのお知らせです!

──といっても、第3弾は『ライク・ア・デイドリーム』ですから、実に3年半ぶりなんですよね。やー、その間、ほとんどの期間は死んでましたし、そうでないときは長編や中編にかまけていたため、短編を書く感覚は久々でした。
「あ、短編ってまーじトゥルッと書ける。ラク。自由で楽しい!プレッシャーもない!」という感じで気楽に進めました。主に昨年の12月にササッと書いた作品を集めております。習作ですので、お気軽にお読みいただけたら嬉しいなーと思っています。

ということで、以下、内容紹介です!

マイ・ファニー・バレンタイン

マイ・ファニー・バレンタイン

 

実験的な習作を詰め込んだ(広義における)BL短編集・第4弾。

<収録作品>
1.クロス・ザ・ルビコン
《親友》の結婚式で出会ったアラサーの男二人──。
"で、お前の方はどうだったんだよ。どうやって川を越えたんだ?"
奇妙なカップルが互いに過去を振り返る。
約12000字。

2.オブスキュリティ・ノックス
視力の低下を嘆く三十代の中学教師と、二十代の陽気な恋人。
"ものが見えにくくなったぶん、世の中の粗も全部見えなくなっちまえばいいのに……"
生徒たちの未来を憂う中年男の、とある日曜日の一コマ。
約16000字。

3.マイ・ファニー・バレンタイン
マッチングアプリで知り合った、顔さえも知らない相手──通称「ダグさん」。
趣味の合うチャット友達として一年以上が過ぎた頃、突然に彼が会うことを提案してきて……?
約31000字。

4.スメルズ・ライク(オマケ収録)
"知ってる? 感情にも匂いがあるんだ。
飼い主の悲しみに犬が寄り添ったりするのはさ、感情の匂いを嗅ぎ取る受容体を持ってるからなんだよ"
《社会》からドロップアウトした三十男と、《学校》からドロップアウトした青年の風変わりな会話劇。
約15000字。

今回の特徴としては「三十代の男性がメインの作品がほとんど」ということになるかもしれません。まあ俺も歳食ったもんなー、としみじみしたんですが、冷静に振り返ってみると『タイニー・リトル・ミラクルズ』も似たようなもんでしたね。なのでいつもの《おっさん×青年》をお楽しみください!でも良さそうな気もしつつ、明らかにおっさんに焦点が合っている感じはやっぱりちょっと変わったんじゃね?とも思います。まーあ、どうでもいいですね!

ところで、表題作の『マイ・ファニー・バレンタイン』だけは昨年の春頃、『Dear, Summer Friend』『フィッシュ・イン・ザ・シー』と並行して書いていたものになります。当時【10代のキラキラ】、【30代のウジウジ】なんて表現をした覚えがありますが、これについては【20代のグラグラ】みたいな感じかなーと。

どうかどうかよろしくお願いいたします!!

晋太郎作品に寄せられたイラストたち その32+α

こんばんはー!久々に……でもないというのが非常に嬉しくて、そしてありがたくてたまらないのですが、今宵も頂戴したイラストのご紹介をさせてください。まずは、新刊『門前三兄弟』に寄せていただいたものから……!!!

毎度ながらのことではあるのですが、今回は特に!!念願としか言いようのないポロさんのイラストです。というのも、ここまで僕が執筆を続られた大きなモチベーションのひとつに、ポロさんに届けたいからという思いがありまして、三兄弟の初稿を書いている時点でもう、彼等を描いて貰えたらいいなあと切に願っていたわけなんです。未完成の原稿をあまりにも長く眠らせていたことも手伝って、こうやってイラストにしていただけるのは感慨深いというか、ほとんど感無量ですね……。村田ポコさんにデザインをいただいたときも泣きそうでしたけど、またもウルッときてしまいました。
三兄弟たちのイラストはもちろんなんですけど、やっぱり女子キャラを魅力的に描いていただけたことがやばいぐらい嬉しいです。真帆と更紗の並びを想像してグッときてしまったり。

(実は真帆は、お蔵入りになった『日昭高校映画部』のお話(ナインのスピンオフ)の登場人物だったので、いちばん古いキャラクターなんですよね。その彼女をこうして拝める日が来るなんて不思議な気分です。ちなみに『日昭高校映画部』の話には猿川くん、犬伏くんというキャラがいたんですが、彼等はのちに名前だけ流用することになりました。)

──と、脱線してしまいましたけども、どのイラストもまなざしが素敵で、他のキャラクターとの関係性のイメージが膨らむようなものになっていて、ただただ嬉しいです!何気にティーン組を全員描いていただいていて、「清次の口もとがいい!」「陽之助、確かにフレッドペリー着てそう!」「あああああ碌、めっちゃ優しそう!」「啓史、うっとうしそう!腹たつ!かわいい!」などなど延々と書いちゃいそうですし、正直を言うともっと細かく言及したい要素も多々あるのですが、過剰になってしまうので自粛しておきます。一点、花が咲いているのがとってもとっても嬉しいです……🙏

黒森さんの三兄弟です!
目にした瞬間「うわー、黒森さんの三兄弟だ!!」と当たり前のことを思ってしまったんですが、それぐらい黒森さんの三兄弟ですよねえ。こういうのをトートロジーといいますが……。三人それぞれにらしさがあり、構図も素敵で嬉しいです!

執筆当時だか推敲中だか、もはやその辺りの記憶すら曖昧なのですけども、清次は黒森さんに捧げたいなーと考えていたことを覚えています。でも、黒森さんの日常ツイートを見ていると、甲太郎の方が自然と仲良くなれそうな感じかも?と思ったり。いずれにせよ、読んで欲しい方に読んでいただけて、こうしてイラストまで頂戴して、心からありがたく思います。何度も書いてしまってますが、コンスタントにずーーーっと応援してくださっていた黒森さんにどれだけ支えられたかわからないんですよね。はー、甲太郎かわいい!

啓史くんは読者さんに描いて欲しかったキャラ1位みたいなところがあったので、これまたもうめちゃめちゃ嬉しかったですねー。「おい、大猿ー!!!」みたいな感じで。清次が素でウザがり、更紗が「ったく……!」みたいになってるとこもまた……😌

そして、ばんじゃくさんの甲太郎&甲生親子!(そして白猫!)
こうしていつもたまらないイラストを描いてくださるばんじゃくさんですが、僕は一読者であり、純粋にファンなので、もう「うわあああ!!」以外にないんですよねえ。ただ、この『門前三兄弟』に関しては、僕が活動できなくなってしまった時期にも『うなばらバタフライ』(海原三兄弟!)がどんどん先へ進んでゆくのをずっと読んでましたから、やーーーっとリリースできたうちの三兄弟を、ばんじゃくさんがばんじゃくさんのタッチで描いてくれている!!と、殊更におかしなテンションに……。

甲太郎がかわいいのはもちろん、甲生がなかなか頼りになりそうな感じで「うわー!」でした。清次も陽之助も、もっとわかりやすく父を敬えよ!という気にもなりますね。しかしともあれ、いい親子をしているふたりにキュンキュンです。

ばんじゃくさんには個人的にエールを頂戴した感もあるので、しっかりエネルギーやモチベーションに変えさせていただいて、今後も頑張りたいなと思っています!押忍!💪

門前三兄弟 -ゆく河の流れは絶えずして-

門前三兄弟 -ゆく河の流れは絶えずして-

 

ということで、三兄弟のイラストはここまでで、以下は他作品のものになります。いやー、本当はご感想ツイートも全部貼りつけたいぐらいの気持ちです!DMやメールをくださった方、Amazonレビューを書いてくださった方、そして読んでくださったすべての方にお礼を申し上げたいです!ありがとうございますー!!

(未読の方はぜひぜひぜひぜひご一読を……!!!)

こちらはひまさんのイラストです!前回のエントリでご紹介させていただいた、日昭ナインの続きで、勝利くん!やー、もー全員分並べてニヤニヤしてしまいました……。
どのキャラも個性と魅力を引き出していただいているのでぜひぜひ前回のエントリと併せて見ていただきたいのですが、勝利くんも最高にいいですねえ……。だってこの笑顔!誰と一緒でもこの笑顔なんだろうなあと思うと余計にキュンときます。

みかんーーーー!!!🍊
笑っちゃうんですけど、でもやっぱりポロさんのマサゲンだから特別!

リリースから5年経ってなお誕生日を祝って貰えるこの喜び!ありがとうございます!現実と同じだけ時間が流れていたら23歳のはずですが、『三兄弟』の世界ではまだ20歳ぐらいのようです。裕也と琢磨だけはアラサーの姿を描いてみたい気もしますね……。

いつもありがとうございますー!
ハッシュタグまで作っていただいたり!報いたい!

ナイン・ストーリース? -球児九人夏物語- side A ナイン・ストーリーズ

ナイン・ストーリース? -球児九人夏物語- side A ナイン・ストーリーズ

 

さて、次回のエントリは、4冊目となる習作短編集『マイ・ファニー・バレンタイン』のリリース告知になる予定です。「タイトル的に2/14がいいんじゃないすか?」みたいなことを言われたので、「バレンタインデーはいっさい関係ねえけどそれもありかあ」ということで、今週末ぐらいにアップできたらなーとぼんやり考えてます。今週中にePub(mobi)ファイルの最終チェックをして、「出してもいいや!」と感じられたら……ということで。習作短編集なのでハードルは低めに、フットワーク軽めに行きたいとは思うのですが。

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どうかよろしくお願いいたします!
それではまた!!

無料キャンペーンのお知らせ&2018年の総括など

やー、2018年もいよいよ終わりですねえ。
ということで、平成最後の大晦日総括やご挨拶などを雑多に含んだエントリを立てさせていただくことにしました。のですが、まずは現在行なっている無料キャンペーンの告知をさせてくださいませ!

ナイン・ストーリース? ー球児九人夏物語ー side A

ナイン・ストーリース? ー球児九人夏物語ー side A

 
晴れでも雨でも -Shiny Side-

晴れでも雨でも -Shiny Side-

 

こちらの二作品、その上巻が無料となっています。 おそらく本日12/31の夕刻17時までですので、未読の方は無料分だけでもトゥルッとDLしてやってくださいー。ともに僕の代表作であり、お気軽に読んでいただける内容の作品ではないかと思っております。

では、以下は2018年の総括的な感じで……。

Dear, Summer Friend

Dear, Summer Friend

 

2018年は僕にとって《再起》の年だったなーと思います。
ほぼ2年間(!)何もできないような状態でいましたが、衝動的にこの『Dear, Summer Friend』という作品を書き始めたこと、そのまま一気に完成まで強引に持ち込んだことでコンディションが少し変わったように感じます。「あー、小説ってこういう風に書くんだったなあ」という感覚が内側に蘇ってきたというか。
とても新鮮な気持ちで、原点に立ち返るような思いで楽しく執筆できたことが僕の中では大きかったのですね。「別に新しいことをやらなくてもいいじゃん!」と肩の力が抜けましたし、「こういうのまだ書けるんじゃん、俺!」とささやかな自信にも繋がりました。我が子ながら、永吉と憲伸が心から愛おしいです。xoxo!

ウィル・グレイソン、ウィル・グレイソン (STAMP BOOKS)

ウィル・グレイソン、ウィル・グレイソン (STAMP BOOKS)

 

僕に衝動を与えてくれたのがこの本、そしてこの本に登場するタイニー・クーパーくんであったことには何度でも触れなければいけません。
言うなれば僕は「自転車の乗り方がわからなくなってしまった」「それどころか恐怖を感じる」状態だったんですね。だけどこの本を読んだとき、どうしても自転車に乗る必要が生まれてしまった。乗らないことには辿り着けない場所が見えてしまった。じゃあ乗るしかない。乗った。運良くフラフラと前に進めた。止まったらもう二度と乗れないかもしれない。ペダルを漕ぎ続けるしかない……!
と、そういう具合に本の力に動かされて書いたからこそ、本の力を信じる憲伸が生まれたのかなーと思います。タイニーがいなかったら永吉は生まれていない、というのは言わずもがなですけれど。

そんな永吉くんが好きな曲のプレイリストも公開しました。永吉というキャラクターがよくわかるリストになっているのと同時、単純にいい曲がいっぱいですので、ドライブやピクニックのおともに使ってやっていただけたら嬉しいです。

フィッシュ・イン・ザ・シー

フィッシュ・イン・ザ・シー

 

サマーフレンドと同時執筆&同時発売だったのがこちら。この二作は鏡映関係である、というご指摘を複数受けましたが、サマーフレンドを書き上げるためには逆側に重しが必要だったという感覚が僕にはありますので、相似的になるのは必然だったのかもしれません。これがなかったら自転車は確実に転倒していたことでしょう。
ただ、サマーフレンドを書き上げるための一本ではありましたが、自分をリスタートさせるうえで重要な話だったよなあという思いは強くあります。俺は膿を出さなきゃいけない、そして主人公をあるていど突き放さなければいけない、そういう気持ちをずっと抱えていましたので。
ともあれ、この作品は「こういうのを書いちゃったんだから、今後はもっと色々やれるべや」という感覚にも繋がりました。これをひとつのターニングポイントとして、今後の作風を広げられたらいいなあと思っています。

作中に登場する楽曲のプレイリストも作りました。セロニアス・モンクは『Run, Jump and Throw.』という未発表中編からの流れなのですが、そちらもいずれは公開しようと思っています。ただ、あまりにもバランスの悪い自己弁護的な作品であるため(その反省があったからこそ『フィッシュ』は完全な救いを設けない構成となりました)完全に他人事になった頃にリリースしようかなあと。

門前三兄弟 -ゆく河の流れは絶えずして-

門前三兄弟 -ゆく河の流れは絶えずして-

 

2018年最大の出来事はこの作品を手放せたことです!
手放すという表現は望ましくないなと思いながらも、率直な実感としてはやはり「手放せた」なんですよね。《再起》するためにはどうしてもリリースが必要で、そのために現状の自分にできるベストを尽くしました。この作品を完成まで導いたことについては自分をめちゃめちゃ認めてやりたいですし、その過程で得たものや、決して少なくない反省点たちは今後に活かしたい……というのが偽らざる今の気持ちです。

リリースして間もないですが、多くの方にお読みいただけてただただ感謝です!頂戴したご感想の数々を胸に、今後も頑張ってゆきたいと心から思っています。なんと言えばいいんでしょう、「この先の俺にまだ期待して貰えるんだ」と強く感じさせてくださってありがとうございます!というか。

『三兄弟』は言ってしまえば、全作品の中で最も「社会派」の色が強い一本となりましたが、次はもっと私的な領域に戻りたいなと今は感じています。僕が日頃考えていることはどうやっても作品に織り込まれてしまうわけですし、もっと肩の力を抜くべきだろうと。今回、自分の領分がどこにあるのか、あるていど正しく掴めたような気がしていて……と、ちょっとまだ上手く言えない部分が多いのですが、以上の全部を引っくるめて、とにかく俺はこの作品をリリースしたわけなんですよ。一定のクオリティは担保したつもりです。当然、めちゃめちゃ読んで欲しいですし、作品としての意義もあると思ってます。もちろん、深く愛しています。けど、絶対に絶対にもっといいもんを書いてやるからな、シンプルに!的な思いを俺はめちゃめちゃ胸に抱いています。上手く言えねえ!

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と、猛ってしまいましたが、2018年は小説以外のことにもチャレンジする機会を賜りました。もはや僕が改めて説明する必要もないぐらいメジャーなゲーム、『東京放課後サモナーズ』です。僕は先日公開された中津木キュウマくんのキャラクタークエストに参加させていただいています。
打診をいただいたとき、僕は『放サモ』はおろかいわゆるソシャゲの知識も皆無に等しかったのですが、実際にプレイをしてみたところ「あー、これは面白いわ……」と膝を打つ感じで、こうして関わらせていただけたことをとても光栄に感じています。勉強になることが非常に多く、「ああ、すごいことをやっているなあ。ゲームってすごいなあ」と素朴に感動してしまうような感覚もありましたね。これだけ娯楽要素がギッシリで、しかもまっすぐにエンカレッジするのって最高じゃないかと。
僕としては、とにかくこのゲームの世界観とキャラクターのファンをがっかりさせたくない、絶対に裏切りたくないという一心で事にあたりました。僕なりのキュウマ愛もギュッと詰め込みましたので、楽しんでいただけていることを心から祈っています!

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ということで、2019年です。2019年の一発目は『マイ・ファニー・バレンタイン』という短編集でいくことに決めています。上の画像は仮ですが(というか三兄弟の表紙で同じ書体を使ってしまったのでどうしようかなーとなってます)ともあれ習作短編集の第4弾です。表題作はサマーフレンド&フィッシュと同時に書いていたもので、その他は三兄弟の推敲中に書いていました。いずれも自由に楽しく勢いだけでダーッといったお話ですので、肩肘を張らずに読める内容になるかと思います。

今は完全に頭が短編モードになっているらしく、アイデアがポンポン出てくるので楽しいんですよー!長編を手放したことでメモリが解放されたような感じなんでしょうね。何本か完成したら短編集にする、という流れを二回ぐらいやりたい気持ちでいるのですが、まあ、人生色々ありますんでこのモードが突然断ち切られてしまってもがっかりせずに、マイペースにやっていきたいなと。穏やかな一年であって欲しいなーとは思いますが、2018年にしても職場が完全に新しい組織に生まれ変わったり、家族がバタバタ倒れたりと色々ありましたし、そういうのは自分の意思だけでは避けようがないですからねー。くわえて俺はトーフ・メンタルで、過剰な愛を持て余しているので。
何にせよ、当面は長編を避け、ゆっくりと感覚を取り戻してゆきたいです。やっと再起しかけているので、「気軽に書いて気軽に出して気軽に読んでもらう」路線でいきたいですね。継続できること、それがいちばん大事ですし。

 

やー、長々と書いてしまいましたが、僕の作品を読んでくださった皆さん、応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました。七転八倒を地でいってますが、今後もヘタレな晋太郎を見守ってやってくださると嬉しいです。頑張ります!

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では最後になんとなく、2018年に僕がよく聴いた曲のプレイリストと、そこには加えなかった3つの珠玉の楽曲を。

Homecomings、うちの甲太郎が絶対好きなやつです。七尾旅人、2018年の暮れに最高に最高なアルバムをドロップしてくれました。思い出野郎Aチーム、彼らは俺のサウンドトラックを作ってくれてるぜ!と感じてしまうぐらいに好きです。去った去った去った!ちくしょう、最高だ!どうか良いお年を!

spotifyプレイリスト『門前三兄弟』のご紹介

こんばんは!『門前三兄弟』をリリースして数日、既に読了の声やご感想のメッセージなどが届いておりまして、慌ててこのエントリを立ち上げています。今作はサクサク読める内容ではないであろうし……という気持ちでいたのですが、皆さん思いのほか早く読んでくださって、本当に嬉しい限りです。ありがとうございます……!

ということで、今回は『門前三兄弟』のキャラクターたちが好きな楽曲、作中に登場する楽曲を詰め込んだプレイリストのご紹介をさせてください。僕はキャラクター造形の際に必ずと言っていいほど「彼(彼女)はどんな音楽が好きだろう?」と考えるので、それをリストにしちゃえばいいじゃん!ぐらいの感覚で作りました。今はサブスクリプションでパパッとそれを聴いて貰えちゃうので本当に便利ですよねえ。

以下、プレイリストとちょっとしたコメントです!完全に作者の自己満足ですが、もし楽しんでいただけたならラッキーだなーという感じで……。

01. おなじ話 - ハンバートハンバート

 冒頭で引用しているのはこちらの歌詞で、甲太郎はハンバートハンバートが、中でも特にこの曲が好きです。本年リリースの『FOLK2』にはキセルとやっているバージョンも収録されていて、そっちもかなりいいんですけど、三兄弟のイメージソングとしてはこっちのバージョンで……。

02. ロックンロール - くるり

03. Blackbird - The Beatles

04. Impossible Air - Nathan Salsburg

 甲太郎の好きな曲たち。ビートルズ好きは甲生の影響で、最も好きなのはこの "Blackbird"。甲太郎はアコースティックギター弾きなのですが、練習でネイサン・サルズバーグの曲をやったりもしています。しかしながら、奴の根っこは8ビートのロックンロール野郎なのです。

05. Ebin - Sublime

【ルー・ドッグ】で流れている曲。店名はサブライム由来で、作中では "Summer Time" (かなり緩いやつ)がかかってるんですが、Spotifyにはなかったので俺の好きな曲を……。店内ではG.Love系のアーティストや、甘々なラヴァーズ・ロックなんかが流れていたりするという設定です。

06. Breathe - Jawbox

07. Too Much Gone Wrong - Starmarket

08. Changes (feat.JJJ) - STUTS

 清次の好きな曲たち。清次は音楽の趣味が割と狭く、ほかの二人に比べると偏っています。なのでファールグラウンドの初期音源もそちらの系譜なのかもしれませんね。初稿をあげたのち、俺がグダグダしているうちにスターマーケット再結成の報せが入ってきて「え、そんなことある?」となりました。
ヒップホップは啓史の影響でちょろっと聴くようです。STUTSのこの曲は、聴いた瞬間「あー、清次はコレ好きだわー」と思いました。

09. Tri'elle - The Cribs

10. Origin of Love - Hedwig & the Angry Inch

11. Road - Nick Drake

 2話、陽之助のエピソードに登場する楽曲。ノスケは割とガチめな音楽オタクです。クリブスはずばり三兄弟によるバンドでもあります。

12. ウォーカーズ・ブルース - 細野晴臣

13. メッセージ - ハンバートハンバート

 陽之助の好きな曲たち。彼は歳の割に渋め好みですが、甲太郎と音楽の話は合うようで、くるりだと "Birthday" が特に好きだったりします。"メッセージ" については、急に好きになっちゃったんですかね。
 ちなみに俺がグダグダしている間に、ハンバートハンバートは "がんばれ兄ちゃん" という曲をリリースし、その歌詞が「虫のことだけやけに詳しい〜♪」とかだったもんで「うわあ」となりました……。

14. In My Life - The Beatles

15. Let's Get It On - Marvin Gaye

 甲生の好きな曲たち。息子らに影響を与えたとーちゃんなのでやはり幅広く聴くのでしょうが、深酔いすると "In My Life" 方面に行くか "Let's Get It On" 方面に行くかで分かれるようです。基本的に酔ってばかりの親父です。スケベ親父でもあります。"In My Life" は、おっさんには歌詞が染みますよねえ。

16. Bluesette - Toots Thielemans

17. Sonho Meu - Dona Ivone Lara

 穂花の好きな曲たち。ディスクユニオンでいうとラテン・ブラジル館とかそっち系ですね。そして俺がグダグダしている間にドナ・イヴォンニ・ララは亡くなってしまいました……。

18. ママレードボーイ - chelmico

19. Summer Soul - cero

 更紗の好きな曲たち。更紗はさほど音楽に関心がなく、なんとなーくちょいちょい聴いてます!みたいな感じなんですがchelmicoはキャラ的に大好きなんですよ。しかし俺がグダグダしている間にchelmicoはメジャーデビューを(略)

20. Sleepwalker - Julie Byrne

21. Snowdome - 木村カエラ

 真帆の好きな曲たち。彼女は海外の繊細な女性SSWを中心に聴いてるという設定です。しかし邦楽もときどきは聴くようで、"Snowdome" は更紗が聴いていたきっかけで好きになってしまったという……。

22. Teenage Mutant Ninja Turtles Theme - Ninja Turtles

23. あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう - 岡村泰幸

 啓史の好きな曲たち。TMNTのテーマは啓史の応援曲です。
 岡村ちゃんは旭さんの影響で、特にこの曲は聴くとテンションがブチ上がるようです。でかい図体で "ビバナミダ" や "ステップアップLOVE" なんかを踊りまくったりもしていて、桜価野球部では岡村靖幸は超有名シンガーとなっています。

24. Sweet Child O' Mine - Guns N' Roses

 坂田家のリビングから流れてくる曲。俺が陽之助でも「何故……」てなりますね。ですがこの曲のリフは最高だと思います。

25. Learn to Fly - Foo Fighters

26. 愛について - スガシカオ

 文一さんの好きな曲たち。ガンズを聴いてる感じですから、青春時代には当然アメリカンロックを好んでたんでしょうが、内省的な楽曲も同時に好んでいた過去がありそうです。というかあります。

27. Nakamarra - Hiatus Kaiyote

28. You Are the Universe - The Brand New Heavies

 旭さんの好きな曲たち。彼にとって "You Are the Universe" は「学生当時と今では聴こえ方がまるで違う」みたいなところもあるのかなあ、「"You" の指すところが変わってしまっていたりするのかなあ」とか思いながら聴いてました(俺が)。

29. I Fought the Law - The Clash

30. Testify - Rage Against The Machine

 洞口の好きな曲たち。基本的にノリのいい曲、激しい曲が好きな感じなだけのクチで、音楽なんて別にどうでもいいし、英語の歌詞は全然わかっていないという。
 "Testify" は彼の入場曲。清次がラウドなものを好むのは、洞口の影響も若干あるかもしれませんね。

31. いかれたBABY - フィッシュマンズ

32. 日が落ちるまで - ハンバートハンバート

33. Superstar - くるり

 碌の好きな曲たち。親友である甲太郎とはもちろん相互にかなり影響を及ぼし合っています。甲太郎同様 "おなじ話" "ロックンロール" はやはり好きなのですが、"日が落ちるまで" "Superstar" も碌にとっては響く楽曲だったりします。
 もしこの作品の最後に曲が流せるのなら、"ロックンロール" のあとにこの "Superstar" も流れて欲しいなあ。

……と、以上です!33曲!多っ!

ところで「甲太郎くんの話は "ロックンロール" からの当て書きですか?」みたいなことを訊かれたんですが、実は碌のパートを書くまではこの曲を使おうと考えてすらいなかったような感じです。というか当初は「今回は歌詞の引用ナシで書くぞー!」とも考えていたので。引用をして初めて「曲の前半が甲太郎、後半が碌……みたいな感じに聴こえるやん」と気づいて不思議な気分になったのを覚えてます。音楽(詩)って本当にすごいですねえ。解釈(=聴き手に委ねられる部分)の余地が大きいというのは、やはり歌というものの圧倒的な強みだなーと思います。

それでは、また!

門前三兄弟 -ゆく河の流れは絶えずして-

門前三兄弟 -ゆく河の流れは絶えずして-

 

新刊『門前三兄弟』リリースのお知らせ

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門前三兄弟 -ゆく河の流れは絶えずして-

門前三兄弟 -ゆく河の流れは絶えずして-

 

昆虫好きの暢気な野生児、長男・甲太郎(19)。
生真面目な赤髪の捻くれヤンキー、次男・清次(17)。
思春期真っ盛りの悩める中坊、三男・陽之助(14)。

作家の母と文化人類学者の父のもとで育った、門前(かどまえ)家の三兄弟はまさに三者三様。のどかな毎日を送っている三人なのだが、実はそれぞれ等身大の悩みや事情、ある種の秘密を抱えていて──?
緩やかに流れ続ける多摩川、その畔で紡がれる家族と記憶の物語。

(400字詰め原稿用紙換算で約640枚/およそ22万字)

<収録エピソード>
★01.ウィー・アー・ファミリー / WE ARE FAMILY(I got all my brothers with me)

 新生活の始まる四月。突如、学校一の美少女である辻村真帆に呼び出された清次。クールな彼女はどういうわけか「門前家」に関心を抱いているようなのだが、話は清次の予期せぬ方向に転がり始め……?(*1話まるまるがプロローグとなる位置づけのエピソードです)

★02.ヨウノスケ・オン・ザ・フェンス /YONOSUKE ON THE FENCE

 十四歳にして不眠傾向のある、悩める三男・陽之助。そんな弟の話を、野球部の特大エースこと坂田啓史に聞かせる羽目になった清次だが、奔放な悪友はそこで奇妙な提案を持ちかけてきて……?

★03.キヨツグ・アンド・バッド・ブラッド / KIYOTSUGU AND BAD BLOOD

 憂鬱な梅雨どき、平坦な生活が続いていたある日──門前家に飛び込んできたひとつの小さなニュース。明らかに様子のおかしい清次を心配し、ガールフレンドの更紗は探りを入れようとするのだが……?

★04.コータロー・ダズント・クライ / KOTARO DOESN’T CRY

 母はラ・コルーニャ、父はボルネオ。両親ともに不在となった門前家の夏。退屈で平和な三人暮らしになると予想していた清次と陽之助だったが、元より頓狂&短兵急であった甲太郎の行動はどんどんエスカレートしてゆき……?

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☆村田ポコさんによるイラストを使用したキャラクター紹介ページを収録。
購入特典として、表紙で用いたイラストをスマートフォン用の壁紙として配布いたします
発売より2〜3ヶ月後に販売価格を値上げする予定ですので、お早めのご購入がお得です!

*PC、もしくはタブレットスマートフォン等の端末にKindleアプリ(無料)を入れることで、どなたでも読むことが可能です。

久々の長編リリースのお知らせです!
……といっても、本作のアイデアを考えたのは2015年の暮れ、初稿を書き上げたのは2016年の春夏なので、実に2年以上も前の作品だったりします。長過ぎるぐらいの期間、眠らせた状態のままとなっていましたが、今春、思い切って2本の短編・中編を発表したこと(そして皆さんにたくさんの反応をいただいたこと)で、ようやく気持ち的な踏ん切りがつきまして、ふたたび原稿に手を入れることができました。内容自体は初稿と何ら変わっていないものの、どうにか納得のできる水準まで引き上げられたのではないかなと感じています。かなり青息吐息になりながらではありましたが……!

過去の長編ふたつと同様、今作もいわゆるキャラクター文芸にあたるラインの作品となっており、友情・恋愛・青春の要素もそれなりに残しつつ、しかし《家族》に焦点を合わせたことだけが "初めて" の一本です。BL的・ゲイ小説的な彩りももちろんありつつ、切実な内容も多々織り込んではいるものの、キャラクターたちは一様に明るく、コミカルな要素も少なからずあるかと思います。三兄弟はもちろん、その家族や友人たちにも個性的なキャラクターがたくさんおりますし、いつも通り僕は彼らに愛を注ぎましたので、皆さんがお好きなキャラクターと出会えることを心から願っております。

22万字と、人によっては数時間で読めてしまうほどのボリュームですので、ぜひぜひお気軽にどうぞ!(*ただしライトな作りではないため、「晋太郎作品は初めて」という方はまず他の作品を入り口としていただくのが安心かなあ、とは感じております)

思いは既に次の作品たちへと向かっていますが、当時の自分に報いたいという一心で懸命に仕上げた、個人的に特別な一作です。どうか今後の作者の活動ともども応援してくださると嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします!!